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『あ!中が…』

同時に、腹の中でふわぁと広がる温かいもの。

『中から、黒くなってく』

嗚呼、射精されたのだ。悪魔に射精されてしまった。そんな気持ちになり、体が万里の黒に変色していく錯覚になる。
これでいいのかもしれない。だって、こうした方が楽じゃないか。

「ぅぁ……出し、たの…?」
「ん…また出していいよね?」
「や、こんな、出されたことなんて…中に…うっ、うぅ」

中に万里のものがある。自分を汚していく。そう考えただけで、羞恥に頬が真っ赤になり、咲弥は顔を隠していやいやと首を横に振った。その間も、まだ万里のは抜けていなくて彼が少し動いただけで下腹部や腰がびくりと震えてしまうし、陰茎からはダラダラと愛液が零れていて恥ずかしいのだ。

「いっぱい出たよ。咲弥の中、俺ので溢れてる」
「やだ、やぁ…」
「恥ずかしい?可愛い…隠してないで見せてよ」

掴まれていた下肢は下ろされ、片手で咲弥の両手を優しく外されてしまった。顔を真っ赤にして涙を流す様をうっとりと見つめられてしまい、か細い声で「やめて」と言うしかない。
すると汗でびっしょりと濡れた美しい顔が近付いてきた。煩わしそうに濡れた前髪を片手の平で上げて額を出した彼は、仄かに頬を上気させている。
悪魔も顔が赤くなるのかと変に感心していると、濡れた目元にキスをされた後、唇にもキスを受けた。

「これで咲弥は俺のものだね。嬉しいよ」
「あ、うう…んっ」
「一つになれた。ずっと待ってたんだ。俺は凄く嬉しいのに、何で泣いてるの?」
「わ、私、まだイッてな…」
「ああそっか。ごめんね、次は咲弥の番だね。今度はぎゅってしながらシよっか」
「ん、ん…」

こちらは強過ぎる刺激に気持ちが追い付かず、万里の言葉なんてまともに理解出来ない所か、微妙に動かれてビクビクと反応してしまっている。いいから早くなんとかして、とされるままに彼の逞しい背中に腕を回すと、甘ったるい香りと汗の香りが鼻腔を掠めた。
その混じった複雑な香りは何とも淫靡で咲弥の胸をときめかせると、濡れた肌と肌が触れ合い、熱が共有された。

「ひぁっ、やら、何か、もっと奥きちゃう」
「気持ちーね」
「こんな、すぐ出ちゃ、よ」

万里も咲弥の背中に腕を回し、その小さな体をぎゅっと抱きしめると、中に挿入っているそれがぐぐ、とより奥へ進んだのだ。

「咲弥、これがセックスだよ。俺のが奥にあるの分かるでしょ?こうやって好きな人に挿れられて何も考えられなくなるほど愛されるんだよ。だから、もっと感じて」
「ふぁ!あっ!そんな、奥だめ、イッちゃう、んあぁっ」

出したというのにもう復活している陰茎は容赦なく肉襞を擦り、切っ先で攻撃している。

「いいんだよ。何回でも出して。ほら、イク?」
「ま、待って…!お尻変になっちゃ、変っ、あ!あん!」

今度は大きな抽挿ではなく、細かく突き上げるような、グリグリと良い所をずっと触れているような、そんな動きをされ、体の芯がぐずぐずに蕩けていってしまう。

「やあ!あんっ、あっ!」
「ん、咲弥は大きく動くより、こっちの方が好き?」
「あっ、あぁっ、やぁ、らめっ、でちゃ、いくっ!」

下から出すようにと押されているみたいだ。自分の意思と反して体は簡単に射精し、どこもかしこもヌルヌルにしていく。

「やあ、あっ、やら、やらぁ…っ」

ぴゅっぴゅっと精子を万里の腹に飛ばしながら、尚も揺さぶられ、咲弥は必死にしがみつくしかない。

「イッた、出たの、動かな、で…!」
「無理だよ。咲弥のお尻が、動いてってお願いしてる…っ」
「してない、ふぇ、ううっ、もお、溶けちゃう、ダメになっちゃうぅ」
「だからダメになっていいんだってば」
「でも、も、ぐちゃぐちゃしてる…ひっく、いっぱい濡れて…」
「うん、もうヌルヌルだね。俺のチンコが気持ちいいからだよ?俺のチンコ、好き?」
「ひっ、ふぁ、すき、しゅきぃ…」
「はは、そっか、好きなんだ」

排泄感に似た射精は、トロトロと熱い体液を零してより体をぐちゃぐちゃにさせる。もう何も考えられない。汗や色々なもので濡れていて、このまま熱に溶かされて繋がってしまいそうだ。
快感は止まることがなく、達したというのに良い所ばかりを突かれて、逃げようと腰を揺するが許してもらえない。
寧ろ、求めていると勘違いされたのか、更に深い部分を目指すように押し付けられてしまい、甘く叫びながら涙を流した。