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咲弥はベッドに浮かぶ形でいるが、万里は床に膝を付け、脚がベッドに浸かっている体制となっている。そのせいか結合部や咲弥の陰茎は常に水に浸かっていて、それがまた気持ち良さに変換されるのであった。

「やっ、なんか、下腹部が…へん、そんな入れたら…!あ!あん!ああ!」
「気持ちいーよね?ん、咲弥もシたかったんでしょ?俺から逃げなかったし」
「ひぁ、に、逃げても、無駄だもんっ…あ!ん!やだぁ、奥シちゃダメぇ…、」
「ん、へえ、だからこうしてセックス受け入れちゃうんだ?可愛い…大好きだよ」
「ああ!やぁぁんっ!」

美しい髪を濡らしながらぐちゃぐちゃに乱して喘ぐ咲弥は、万里に可愛いとか好きだとか言われる度にアソコをきゅんきゅんとさせて感じてしまう。
嫌なのに、こんな大きな陰茎を挿れられて苦しいはずなのに、何故だか万里を拒む事が出来ずに、もっと気持ち良くしてほしいと思ってしまう自分がいるのだ。
今日はおかしい、いきなり現れた男に初めてだというのに股を開いて受け入れてしまっている。しかも、そんな嫌な気持ちになっていないから余計変だ。

腰を掴んでいる手の感触や、彼から香るチョコレートの甘ったるい香りや、この腹の奥に響く熱い陰茎全てに興奮してしまい、ダメだといいながらも咲弥の喘ぎ声は止まらない。
後孔はきゅんと蠕動して、万里を求めてしまっている。

「やぁ、体へんになるっ、へんっ、こんなのダメっ!」
「いいじゃんいいじゃん、っ、凄い気持ちいいし、咲弥も喜んでるし」
「そ、な、わかんなっ…喜んでない…ん!うぅっ」
「嘘つき」

求めるままに万里が動きを早めたものだから、咲弥の声や水音が更に大きくなった。
ばっしゃばっしゃと暴れる水面に色々刺激されてもう思考が正常でなくなってしまう。全てが気持ちいい。

「嘘つき咲弥も可愛い。俺のチンポはめられて喘いじゃう咲弥も可愛い。しっかり勃起させちゃってる所も、ふわふわできゅうきゅうしてるアナルも、全部ぜーんぶ可愛いよ」
「やだぁ!言わな、でよ…ん!あぁっ!お尻、きゅうきゅうしちゃ、やだ、感じたくないっ、やだぁ…!」

自分が何を言っているのか…相当はしたない言葉を口にしているのにそれすら気付けずに、快感を貪って下半身を熱くさせてばかりだ。硬くて大きなそれに内壁を擦られる度、むず痒いような甘ったるいようななんとも言えない心地良さが電流のように流れていき、咲弥をダメにしていく。
突かれる度に水や空を蹴っていた足は今は強請るように万里の腰や腿にからみつけているし、今日の自分は本当におかしいのだ。まるで万里を好きでいるみたいで…

「感じたくなくても、気持ち良くてビンビンにしちゃってるんだよね?はあ、かわいい…すっげかわいい…んっ、んっ!」

堪らないというふうに更に強く打ち付けられて、大きく波を作ったベッドは、咲弥の頭から水を被せてきた。
それくらい激しく求められている、それくらい激しく万里が乱れている、と思うと咲弥のアソコはもう限界だ。

「も、無理ぃ!イッちゃ、イク!あぁっ、あ〜!」
「うん、いいよ、俺のチンコ感じながらイッて」
「あぁん!気持ちぃ、らめ、も、出ちゃう、天空くんの、おちんちんでイッちゃ…あああん!!」

体中の熱が一点へと集まり、一気に何かが出口を求めて駆け巡って行く。ああもう射精するのだ、と気持ち良さに身を委ねた瞬間、咲弥は覚醒した。

「………サイアク」

万里とセックスする夢を見て朝を迎えてしまったのだった。

***

どうも変だと思っていた。何故か自分は万里が好きっぽかったし、シーンが突然挿入場面に飛んでいたし、彼のことを殆ど拒まなかったし…

「はあ…」

何という下品でバカで信じられない夢を見たのだろうか。咲弥はグリーンスムージーを飲みながら何度もため息をついて支度をした。
男性器をあんなところに挿入されたことも無ければ、挿入されて感じたことなんて勿論無い。それなのにあんな夢を見て夢精して目覚めるなんて…本当最悪な目覚めだ。
これは絶対万里の仕業に違いない。肉体だけでは無く精神も操作出来ると確か言っていたから、そんな魔法をかけてあんな下品な夢を見せてきたんだ。

『絶対許さない!絶対殺す!』

グラスを割らんばかりの勢いで握り締め、怒りに任せてスムージーを一気に飲み込んだ。

〈咲弥、花瓶をお願いね〉
「分かってるよ。可愛いの買って帰るから」
〈楽しみ!〉

そう両手を広げるアーパスに笑顔を向けて「行ってきます」と挨拶をして部屋を出たがその瞬間からは鬼の形相である。
いつもより早く出て、自らの足で万里の部屋まで来た。
リンゴンリンゴンリンゴンリンゴンリンゴン!!!
そしてこれでもかとインターフォンを連打すると、ドタドタと床を蹴るように歩く音や、何かにぶつかって物が倒れる音を立てながら万里が出てきた。