所謂マスタベーションというやつなのだろうが、そんな事をしたいとも思ったことはないし、自分の中ではまだ早いと思っていた。それなのに、目の前の男は自分のペニスを握っている。

『怖いよ…怖い…やだやだ、やめて、助けて…』

ネグリジェの上からだが、薄い布は鷹臣の手の温度や指の硬さを充分に伝えてきた。少しでも力を入れたら桜介のソレなんて簡単に潰されてしまいそうで、お願いだから動かさないでほしいと彼の手首を掴むしかない。
しかし鷹臣はそんな桜介の心情を呆気なく無視し、人差し指と親指で摘むと、ゆるゆる擦り始めた。

「直に触ってもいいけど、何かこっちの方がエロくていいよな」
「ぅ、あ、ああ…」

根本から持ち上げるように先端まで指が進み、また根本まで下りる。触り方はあくまでソフトで、緩く触れている程度だが、桜介からしたらしっかりと握られているように感じて、物凄く強い刺激になった。

「すっげ、可愛い…こんなチンコちっせぇんだ…勃ってもあんま変わんなさそうじゃねぇ?…やっぱ俺が惚れただけあんな。キレイだぜ。エロくてキレイだ」
「せ、せんぱい…ぼく、こういうこと、知らなくて、こ、怖いです…おねがいですから…や、やめ…」
「はあ、いいなそれ。何も知らねぇんだ?いいぜ。俺が優しく教えてやるよ。気にすんな、痛ェことはしねぇよ。アンアン泣かせるようなことしかしねぇから」

言葉の意味は解らないが、やめてくれないのは解った。何をされてしまうのか予想出来ず、大事な所をずっと擦られて、気持ち良さなんかよりも恐怖が募るばかりだ。
桜介だけ裸も同然の姿で、人に触られるべきではない所を触られて恥ずかしい。同級生を裸にして写メを撮る、なんてイジメがあるみたいだし、自分も今そのような事をされているのではないかと思う。
暴力をふるわれるのとどちらがましだろうかと考えたが、どちらも嫌なことにはかわりなかった。

「う、あぅ、うぅ、ひっく、ふ…」
「やっぱ勃たねぇな。オナった事ない奴だからしょうがねぇか?…よっと、」
「あ、んっ、せんぱい…?」

いくら擦られてもソレの状態は変わらず、鷹臣は小さくため息をつく。当たり前だ。こんな状況で興奮出来る要素なんて何もないのだから。
でも、鷹臣からしたらそんな考えは浮かばないのだろう。なんてったってあの白河鷹臣が愛撫をしているのだ、感じない奴がいる訳が無い。と、思い込んでいるはずである。
鷹臣は仕方ない、と手を離した。諦めてくれたのかと安心したが、彼は引き出しからボトルを取り出してきた。それは不思議な形をしている。
半透明のボトルで、中に入っている液体も透明だ。蓋を外すとドレッシングボトルのように先端が細くなっていて、ふわりとバニラみたいな甘い香りが漂った。

「ローションも見たことねぇの?」

そのボトルを桜介の目の前まで持っていき、これ、と言うように少し揺らすから、素直に首を縦に振る。すると鷹臣は嬉しそうにニヤリと笑った。

「いいぜそういうの。俺がどんどん染めてってやるからな」
「え、ローションって、化粧水のことじゃないんですか…?」
「はぁ?化粧水?…はははは!これが化粧水だったら大変なことになんだろー?あのな、これはこうやって使うんだよ」

ちゃんと見てろよと言われ、嫌な予感が胸を過ぎり、自身の躰を抱くように胸の前で手を組んでブルリと震える。
果たして予感は当たった。ネグリジェの裾を腹まで捲られ、完璧に性器を出されると、鷹臣はその上でボトルを逆さまにしたのだ。
出てきた中身はスライムのように重い粘液で、ボタボタと太ももや陰茎に落ちていく。

「ひゃ!?つめたっ…!」
「ああ、ダイジョブダイジョブ。すぐ熱くなっから」

これでもかとネバネバしたものを垂らすと、鷹臣はボトルを置いて手のひらで塗り付けてきた。

「!?あっ!」

ぬるぬるしていて滑りが良いからか、少し強く触れられても痛みや凄い刺激がない。それに鷹臣の熱い手で触れるものだから、ローションの冷たさもすぐに緩和されていく。
……というか、なんだかじわじわと熱くなってきて、何故だかアソコがむずむずしてきたのだ。

「…これ、なんですか…んっ、んっ、なんか、や…」
「気持ちよくなってきたか?ハーブとか入ってるやつだからな、段々あったかくなってくんだよ。もう冷たくねぇだろ?」
「…冷たくはない、です…でも、でも…」
「でも?」

…どうしたのだろうか。下半身の奥の方がじぃんとして、何だか腰が重い。尿意に近いむず痒い感じと、陰茎が寂しい感じに襲われて、太ももを擦り合わせるように動いてしまう。
下腹部があったかくて、マッサージをされているような心地よさがあるのに、陰茎はじくじくと熱くてローションで濡らした以上に濡れている気がした。
怖くなって思わず両手で顔を隠し、かぶりを振るが、鷹臣は許してくれない。「でも」の続きを催促してくる。

「どうした、「でも」何だよ?」
「あっ、あっ、んっ」
「喘いでちゃ分かんねぇって。ちゃんと言え」
「ひんっ、あっ、熱くて、ヘン、です…」
「ヘンって、何が?」
「あっ、んっ、あ、あそこ、が…」
「……あそこ、な。見てみ。勃ってるぜ」
「え…?」