熱の条件 | ナノ







奮わせながらとくとくと垂れる精液の温かさを感じながら、甘えるようにスマートフォンに頬を付ける。アキラが恋しくて恋しくて仕方がない。
優しい中に興奮した色を見せる声に、桜介も興奮してしまう。

でも、射精はアキラの命令ではない。

《久しぶりだよね?いっぱい出た?》
「ぅ、ん、はい……う、ひっく、ごめ、なさ…」
《どうしてだい?謝ることではないだろう?》
「でも、勝手にイッちゃって…っ」
《…ああ、そうだね。うん。いけないね、俺は射精までは許していないな》

やはりそうだ。アキラはそこまでしても良いとは言っていない。
乳首を摘んでいいと言っただけだ。射精までは、まだ…

だから小さい声でもう一度ごめんなさい、と謝ると、今度は少し掠れた、含みがある声に変わる。

《悪い子だね、桜は…俺はいいよって言わなかったのに》
「あぅ、あきらくん…」
《だから今度会った時、うんとオシオキしてあげる。今は何も出来ないからね、このまま桜を愛するよ》
「ふ、あの…」
《その代わり。どう気持ち良いのかはちゃんと言わなきゃだめだからね。俺は桜のエッチな姿が見たいのに、見られないでいるんだから》
「あ、はい…分かりました…」

お仕置きは今度…期待に胸がドキドキとした。


そして、彼の指示通りに素直に動く。
潤滑油になる物はないかと訊かれ、マッサージ用のボディオイルを取り出した。
蓋を開けるとアーモンドブロッサムの甘い香りが漂い、妙に罪悪感を抱かせる。これをこういった事に使うのは初めてだからだ。

それを手のひらに出すと、そのまま後孔を濡らすように言われた。
今度はこっちに触れるのか…緊張しながらゆっくりとオイルを伸ばし、周辺を揉み込む。

《はあ、ちゃんと濡らしたかな?まだお尻の穴には触っちゃダメだよ?いきなり触れたら傷付いてしまうかもしれない。ずっと触れてないからね、ゆっくり慣らさなきゃね》
「あきらくん、あの、ここに自分でさわるんですか?」
《うん。桜はそこ、触ったことあるだろ?》
「はじ、めて……」
《ほんとに?》

アキラの驚いたような声が聞こえた。
本当だ。その周辺に触れるのだって初めてだ。いや、以前鷹臣によく見えるよう広げろと命令され、自ら媚肉に触れて後孔を曝したことはあるが、自慰行為で触ったことはない。
中に指を挿れたことだってないし、自慰行為はノーマルに陰茎を扱くだけで済ませてきていた。

だから初めてだと覚束無い口調で伝えると、息を呑む音がして、次に少し呼吸が乱れたような声が聞こえた。

《はあ、そうなんだ。初めて。…初めてそこにさわるんだね。はあ。それなら、ちゃんと気持ち良くなるように俺がしっかり教えてあげる。桜の好きな所とか、きゅうきゅうして気持ちいい中の感触とか、全部教えてあげるからね。桜は俺の言う通りにすればいいんだよ…》
「ひぁ、あ…はい…」

アキラの息が少し荒い。もしかしたら、彼も気持ち良くなっているのかもしれない。電話の向こうで、下半身を出して触っているのかも…
一緒にいやらしいことをしてくれているようで、桜介はそんなアキラの姿を想像し、頬を赤らめた。

《久しぶりだからキツいと思うんだ。だから、入口のところをゆっくり撫でようか。挿れなくていいよ、撫でるだけ。解す感じだね》
「はい…ぁんっ」

−くち…
小さな粘着いた音を立ててそこに指を這わす。初めて触った後孔は、思ったより柔らかく、ふにふにとしている。

「ぁ、んん、んっ」

言われたとおりに撫でてみた。右手の中指一本で擽ると、媚肉がきゅっと引き込むように締まる。

「ぁ、やぁ、やだぁ…あんっ、あっ、あっ」
《どう?硬いかな?桜の穴はちっちゃいからね…少しずつ解さないとね…ん、》
「あん、ん、きゅうきゅう、しちゃ…勝手に、なんか…」

柔らかさを確かめるように、少し左右に揺らしてみると、更に引き込み、指をちゅうちゅうと吸っているみたいだ。
躰が、奥の方へと刺激を求めている。

《勝手に、なに?》
「ぁ、ゆびを、おしりがぁ…あ、いやっ、やぁ…」
《桜、ちゃんと言わなきゃだめって言ったよね?》
「ごめんなさ…あ、でも、はずかし…ん、ぁん」

その奥の方が疼いているせいで、まだ入り口しか触れていないのに、これでもかと桜介を気持ち良くする。まるで浅ましい淫乱な躰みたいで恥ずかしい。
下半身が奮え、膝も跳ねてしまう。
嗚呼どうしよう、このまま玄関を開けられては、全裸で後孔を愛撫している姿が丸見えだ。そう思うだけで、更にきゅんと締まった。