lark | ナノ


 


 05.



あの人に感化される
そしたら俺は、どうなってくんやろ。


lark
incident.5 阿呆症感染者


「………で?」

『だから、光も一緒に来て欲しいなって』

「何処をどないしたらそういう話しになんねん」


あの人の口から彼氏が出来たと告げられた3分後。意味が分からへんけど今日の待ち合わせに俺も付き添えと要求された。
彼氏はあの人の1つ歳上の大学生で、某レンタルショップでバイトしてるらしい。その店をあの人がよく利用してて向こうが一目惚れ。昨日俺と別れてから店に行った時に告白された、っちゅう訳やけど。


「俺何も関係無いすわ」

『そう言わずにお願い!アタシと光の仲じゃん…?』

「あーそりゃどないな仲なんかこっちが聞いてみたいんやけど?」

『え…昨日あれだけアタシの事知ったくせに…』

「誤解を招く言い方は止して下さい」

『良いからお願いってば!光に見極めて欲しいの!完璧にアタシが惚れちゃう前に、良い人かどうか…』


ほら、アタシって男見る眼が微妙らしいじゃん?
そら否定しませんけど。微妙どころか寧ろ最悪やし。せやけど男からしてみればやっと付き合う事になったのに初日のデートで違う男を連れて来られるって有り得へんやろ。況してや本人に理由なんや話せられへんし。仮に俺が行っても気まずくてしゃーないわっちゅうやつやんな。


『あ、それなら平気』

「は?」

『昨日ね、付き合う返事する前にアタシ簡単に説明したんだ。今まで散々だったから先ずはお友達が良いって』

「はぁ…」

『そしたら向こうがね“じゃあお試し期間で良いし友達と相談してくれても良い”って!』

「………………」


っちゅう事は?あっちから言い出した事やって?
んな阿呆言い出すとかどんだけ切羽詰まってんねん。どっかの誰かさんみたいやな。“け”が付いて“ん”が付いて“や”が付いてる人。にしてもそれだけイッショウケンメイなら信用しても良えんちゃうん?よう分からんけど。


『だから、部活が終わったら宜しくお願いします』

「嫌や」

『うっ………』

「泣いても嫌なもんは嫌や」

『っ!……そうだよね。アタシと光なんてまだ知り合ったばっかだしこんな事頼む方が間違ってるよね』

「、」

『そうだよ、大体自分が付き合う人なんだから自分で判断しなきゃいけない事じゃん…それでアタシが騙されようが遊ばれようが警察沙汰になろうが光には関係無いし…』

「……………………」

『まだアタシ達は親友って呼べるほど深い仲じゃないし、アタシなんか光の頭の中でほんのちっぽけな知り合いにも満たないくらいの存在、』

「はいはい分かった分かった!行けばええんやろ行けば!」

『本当に!?来てくれる?』

「勝手に何処でも連れてって下さい…」


ねちねちネチネチねちねち…
あれだけ言われたら流石に。後に引っ張りそうでそっちんが面倒臭いわ。
ほんま変な女に関わってしもて、昨日一緒に帰った事すら後悔の文字が浮かんで来たけど、


『良かった!アタシ光信じてるから嬉しい!』

「………あほ」


その2文字はただ浮かんできただけで、実際は「しゃーないすわ」で済ませられた。多分、少しずつあの人の阿呆さに洗脳されてるんやと思う。


(20101201)


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