platonic heart | ナノ


 


 巻き込まれる彼



『ブンちゃん会いたかった!』

授業中なんてお構い無しに叫びながら飛び付かれたなら、やっぱり可愛いって思うのが男じゃねぇの?なんてな。


platonic heart
sweet.1-3 巻き込まれる俺


チャイムが鳴って4限の英語が始まる。体育と家庭科なら張り切って身体動かしてお菓子(これ決定)作って貰って厭な授業も張り切って頑張るってのに。
英語とかさ、俺日本人だし喋れなくて良いんじゃね?とか、日本人だし分からなくて普通じゃね?とか思う訳で。

英語担任の話しを右から左に、シャーペンをクルクル回して噛んでたガムをぷうっと膨らました時だった。ガンッ、と普通じゃなく酷い音で教室のドアが開いた。


『ブンちゃん!会いたかったよ!助けて!』

「、は?名前?」


その瞬間、膨らましたガムもパンと割れて、俺も教師もクラスメイトも、一斉に視線がそっちへ向く中でそんな事関係ねぇといったアイツは俺んとこまで駆け寄ってくる。


『アタシ、追われてるの!』


お前何言ってんの?
透かさず突っ込んでやりたかったのにぎゅうっと飛び付いて来られたら俺も背中に手を回す方が先かなって思うだろぃ?


『おー、名前。1週間ぶりじゃなか?』

『あ!仁王ちゃん!仁王ちゃんにも会いたかったんだよアタシ!』

『俺もじゃ』


俺の腕の中に居るくせに仁王を見たら見たで手を伸ばして頭撫でて貰って本当相変わらずっていうか。ここまで色んな男に愛想振りまけるのは凄いと思う。これこそ天性の才ってやつ?
名前だから許されるんであって、普通だったら何処に行っても厭な顔されるんだろうしそれで皆から可愛がられるってマジで凄い。


「で、追われてるって何だよぃ?誰に?」

『えー…実は、柳生に』

「は、柳生?何で?」

『紳士名乗りながらそれは酷い話しじゃの』

『そうだよ、眼鏡直しながらね、“名前さんが此処に居るのは分かっているんですよ”みたいな』

「それストーカーじゃん」

『うん、だから一緒に逃げて!』

「よっしゃ任せろぃ!」


良く分かんねぇけど久しぶりに名前に会えた訳だし、授業を抜け出す口実も出来た訳だし、何か何だか面白いし。
抱き締めてた名前を肩に担いで、呆気に取られたまま怪訝な顔した先生に「ってな訳でシクヨロ!」とだけ伝えて仁王と教室を出た。


「なぁ、逃げるっつっても何処行くよ仁王?」

『屋上か部室か…天気良いし屋上で良いじゃろ』

「オッケー、つか名前」

『うん?』

「お前やっぱ転校して来たんだ?」

『違うし!立海来るなら制服は必要かなって思っただけだもん。可愛いでしょー?』

『似合とるぜよ』

「似合ってるとは思うけどさ、俺は見慣れた制服よりいつもの方が新鮮で好きだけど」


屋上へ行く途中、そういえば何で、って思った制服について触れてみた。でも特に理由は無いらしくてちょっとガッカリ。
アイツが転校して来たらちょっとは学校も楽しくなるのにさ。それに名前がこんな格好してるの見たら幸村がマジになるんじゃねえの?

そんな事考えながら屋上のドアを開くと、


『へえ。良いポジションに居るじゃないか丸井は』

「っ、」

『さすが柳先輩!本当に名前ちゃん屋上に来たっすよ!』

『当然だ。3人揃って屋上へ来る確立は70%だからな』

『本当に困ったもんだな』


そこには菩薩様の様な微笑みを浮かべた幸村を始め、お馴染みのメンバーが揃ってた。


『3人共、授業を放棄するとは何事だ!たるんどる!!』


中でも真田の馬鹿でかい声は学校中に響き渡ったに違いない。
未だ抱えたままの名前の顔は見えないけどピタッと動きが止まった事だけは容易に分かった。
(絶対顔引きつってんだろうな)


(20100714)


prevnext



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -