たまにはこんな珍プレイもありじゃん?
絶対無しや無し無し無し!
platonic heart
sweet.5-1 ラブリィレター
『ねえねえ白石くん』
「はいはい名前ちゃん何ですか?」
授業合間の休み時間。チュッパチャップスを喰わえて机に伸びていた名前は黒目だけをこっちに向けて声を掛けてきた。
この物言いは次の数学の宿題やってへんから見せて欲しいとか、そういう魂胆がある時と同じや。毎日毎日ちゃんと課題はやらなあかんて言い聞かせてるのに困った子やでほんまに。
『蔵はさぁ、』
「うん」
『ラブリィハリケーン来た?アタシを初めて見た時』
「分かった分かった。時間も無いし、しゃーないから今日は答え見せたるけど明日からは…………、うん?」
わざとらしく大きく息を吐いてノートを左手に持ったけど耳に入って来たのは予測したものとは掛け離れた言葉。てっきり『宿題やってるよね?写しても良い?』って来るか思っててんけど…今何て言うた?何や変な言葉が聞こえて来たような気がせんでも無いやん、な?
『何の話ししてんの?ちゃんとアタシの話し聞いてよね!』
「ご、ごめんな、何やった?」
『だから、アタシに初めて会った時ラブリィハリケーン来たかって聞いてるの!』
「らぶりい、はりけーん…?」
愛らしい台風……、つまりは名前を見てその愛らしさに愛の台風が上陸したんか、そういう事なん?
ほんまのほんまに課題とは掛け離れ過ぎで、しかも微妙なスケールのでかさ(表現がな)のお陰で少し反応に戸惑ってしまう。今日は大人しい思ってたらそんな事考えてたんか…?
否、思い出話しに浸ってくれるのは幸せな事やし大歓迎やけどやな、ラブリィハリケーンやで。ラブリィハリケーン。
『その顔、来なかったんだ』
「そ、そら、来たっちゃ来たけど……どないしたんや急に」
『さっき思い出したんだけど今日こんなの貰ったんだよ』
「なん…、ラブレター!?」
今時ご丁寧にハートのシールで封をされた真っ白な手紙に動揺せずには居られへん。また家出要因になり兼ねん物質(男やけどな)を作るのだけは断固避けたかった。
せやけど顔色を変えた俺に反して名前は、さして興味無さそうにソレを差し出してくる。当然そのまま受け取って中を拝見すれば俺の身体は隅々まで鳥肌が立つんやった。
――――拝啓、我がエンジェル。
今日僕が手紙を送った理由とはただひとつ。僕の心が君に奪われたからだ。
燦々と照る太陽の下で君は振り向き僕にホワイトトゥースを見せ微笑んだ。それが愛のメモリーの始まりなんだ……
突然こんな事を言ってすまないとは思っている。だがもう抑えられなかった。僕のハートでは抱えきれないほどのラブが育ってしまいフラワーになってしまったんだ。これも全てユア・ザ・罪。
本日ランチタイム、校庭のチェリーブロッサムで待っているから来て欲しい。
僕の全てを奪った君へ。
嗚呼、ラブリィハリケーン。
「……――っ、なんやねんこれ!!」
凄まじい衝動でつい微塵に破ってしまったソレを抱えて残り3分しか無い休み時間、職員室へと走った俺やった。
全てはオサムちゃんのライターを借りる為、レターをファイヤーする為に……………ちゃうちゃう!!手紙を灰にして抹消する為や!
(20111002)
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