君愛 | ナノ


 


 10.



俺の知らない悪態を付く姿はらしくないのに、
幸せに見えるのは何でなんすか。


君を好きになった僕を
愛して下さい

captive.11 多分じゃなくて絶対


(名前はさ、ずっと俺の事好きで居てくれる?)

(え、何言ってるの…アタシがいつ平助の事好きだって言ったの!)

(クックッ、まだそんな事言うのかよー)

(まだって何なの!まだって!)

(へいへい。分かったから俺の話し聞けって)

(なに、改まって…)

(ちょっと真面目な話し)

(え?)

(俺達さ、今までずっと一緒だったじゃん)

(…腐れ縁だからね)

(そういう言い方すんなって!でさ、俺はこれからもずっと一緒だと思うんだ)

(……何で)

(だって俺は名前が好きなんだから離れたくねえし。だったら必然的に一緒じゃん)

(…………)

(だけどさぁ…やっぱ何があるか分かんないのが未来だろ?もしかすると名前は別の男を好きになるかもしんねえし。その時は俺がフラれるって訳)

(どんな妄想してんのホントに)

(妄想っつか可能性のひとつ!だから、俺が言いたいのはさ、もしそんな日が来たら協力はしてやれねえけど名前が幸せならそれで良いやって事)

(、)

(それでも俺は名前が好きだけどな、多分じゃなくて絶対)

(……意味分かんない今日の平助…)

(別に良いよそれで)


星が顔を出す頃には雨も上がったのに、俺の頬っぺたは一晩寝たあと今もまだジンジンと痛みが残ってて。それのお陰なのか今日もまた俺の知らない名前先輩とあの人の夢を見た。
このタイミングでこれって、どう考えても嫌がらせじゃん。俺が先輩を怒らせたから、傷付けたから、仕返しってやつっすか?
アンタが名前先輩を大事にしてた事はもう分かってるって言ってるじゃないすか。こんな夢見なくたって、分かってる。名前先輩がアンタを想い出に出来ないのだって知ってるし。
引っぱたかれて眼覚めたんすよ。きっと俺は先輩の近くに居ちゃいけない男なんだって。ちゃんと理解してやれない男なんだって。

……だから。

もう、名前先輩には付き纏わない。


『おはよう赤也、今日は早いな』

「あ、幸村部長」

『どうした?昨日名前と出掛けて今日も浮かれているのか?』

「そんなんじゃないっすよ!俺が朝早いと変だって言うんすか?テニスがしたくてしょうがない純粋な気持ちだってのに!」

『ははは、今日もまた雨にする気かい?』

「それは酷いっすよ幸村部長!」
『あー、噂をすれば何とやら』

「、」

『おはよう。名前も今日は早いね』

『う、うん…あの、あかや、』

「じゃあ先に俺は着替えて来るっす!」

『あ、』

『――――…………』


昨日の雨が嘘みたいに今朝は澄み切った空の青が広がって。
それに似つかわしくない、眉をハの字に下げた名前先輩の顔を見ないフリして背中を向けた。それがあからさまだとしても、俺には精一杯で、好きだからこうするしか出来なかった。


(20110112)


prevnext



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -