俺様シリーズ | ナノ


 


 05. oneday/4月14日



寂しかったあの時。
電話越しに聞こえるオサムちゃんの声で心がポッと暖かくなった。


「あー良く寝た」


今日は土曜日で、学校も休み。
部活だって昼からなんてきたもんだから少し眺めに寝れることが出来た。
なんて清々しい朝だこと。


「ソロソロ支度しなきゃ、今何時―――っ、ええ!?」


時計の針は2時過ぎを指していて。
部活開始時間は12時半。とっくに過ぎている。


「やだやだあり得ない!!」


鬼部長に怒られたらどうするの!なんて独り言を言いながらドタバタ支度を始める。
本当信じられない!目覚まし鳴ってないっつーの!
顔を洗って着替えをしようとしたその瞬間、

――ピンポーン

誰よ、この忙しい時に!どうせ新聞とか宗教の勧誘でしょ!無視無視無視。

―ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン

………………。
しつこい!ずっと鳴り響くインターホンに苛々して乱暴にドアを開けた。


「はいはい!どちら様!?」

『お前、』

「…げ、」


ドアの向こうでインターホン連打していたのは今アタシの中で話題のオサムちゃんだった。
うわ、まさか迎えに来たの!?怒られるなんて勘弁して!


「あの、ごめんね、寝坊しちゃって、オサムちゃ――」


ふわり、
そんな音がしたと思うとアタシの目の前はオサムの胸元だった。
え、何で抱き締められてるの?


『……………』

「オサムちゃん…?」

『、心配させんなや』

「し、心配?」

『阿呆…無遅刻無断欠勤無いお前が来おへんから、何かあったと思うやん』


ってことは説教しにきたわけじゃないの?


「ご、ごめ…でもそれなら電話してくれれば、」

『何回もしたわボケェ!』

「あれ、嘘、」

『嘘なわけあるか、電源入ってなかった』

「そう、だったかな、ごめんなさい…」

『まぁ無事やったんならそれでええ』


ホンマ良かった、その声は酷く安心した様子で。
それだけでどれだけ心配してくれたのが伝わってきた。
いつものアタシならきっと離してって暴れ回るとこだけど、今回はおとなしくしようかなー、なんて。


『名前?』

「うん?」

『その格好アカンわ…』

「格好?」


背中に回った手が緩まるなり、アタシは自分の服を見た。
少し長めのTシャツ。
それ1枚のみ。


「キャアアアア!!!何見てんの!変態変態近寄らないでー!」

『叫ぶなや!っちゅーか、俺やと知らずにドア開けたよな?』


必死に大事な箇所を隠しながら、それが何よって言うと、


『他の男に見せる気やったんか…』

「そっ…!そんなわけないでしょ!?」


オサムちゃんの顔はすごく歪んでて。
怒ってる、怒ってる!
せっかく怒られないって安心したのに…!


『他の男なんか見せたらアカン。俺のや』

「え、ええ?」

『名前は俺のもん。せやろ?』


違う、って言いたいのに今の台詞、キュンってきちゃったじゃない!
…って、それより服、服!!


「アタシ、着替えるから!それじゃ、」

『無理、』

「は、」

『我慢出来へん』

「!!?」


逃げれるもんなら
逃げてみぃ


オサムちゃんから逃げられるわけない。アタシの悲鳴はアパート中に響き渡ることになる。

(ご馳走様)
(、信じられない!)
(めっちゃ好きやで)
(…………、)
(名前も言うて)
(…多分、好き)
(指輪、楽しみにしとき)
(け、結婚する気?)
(俺の奥さんは女子高生ー)


(2009)


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