02. oneday/4月14日
『そろそろ休憩しよか、名前ー!ドリンク配ったってー』
「……………」
『名前ー!』
「……………」
『アカン。抜け殻や』
『部長、名前先輩どうしたんすか?気持ち悪いんやけど』
『…俺が知るわけないやん』
今のアタシに皆の声が届くわけがない。
未だ頭を整理しきれてなくて。
“右の薬指な”
その台詞を何度も何度も思い出す。まさにエンドレスリピート。
だってどうゆうこと?
大阪人は冗談好きだからからかわれただけ、だよね。
でも本気やって言ってた。
どうゆうことって聞き返したって返事もなくって。突っ込みが甘くて返す気にもならなかったってか?
これでもアタシはオサムちゃんのお笑い講座皆勤賞なんだけど。(素で突っ込んだから面白いもくそもなかったけど)
「うーん、う゛ーん……」
『、ホンマ、アイツどないしたん』
『さっきの話聞かれてたんちゃいます?』
『せやったら呆たれんやなくて浮かれるやろ』
『、ッスね』
「う゛ーーー……」
『…………』
駄目だ、幾ら考えたって分からない。
『お前等そっとしといたれや』
『あ、オサムちゃん。まさか何か知ってるん?』
『なーんも知らん。頭痛い言いよったからそれやろ』
『そうなん?それならそう言えばええのに』
『部活休みたくないって言うてたからな』
『名前がそないマネージャー業頑張ってるやなんて…』
そんな会話を繰り広げてるなんてつゆ知らず。
適当な事を言った後、考え込むアタシの横にドスンッと座った。
「お、オサムちゃ…!」
『そんな俺の事考えてるとか照れるわー』
「なっ…!?」
ハズレじゃないけど限りなく意味が違うんじゃないのか。
飄々としてるオサムちゃんを見るとやっぱり冗談じゃないかって思えて。
だってあんなのあり得ない。
『何考える必要あるんや?』
「え、」
『お前は黙って受けとったらええ話やろ』
「うーん、そうなのかな………、え゛!?」
いけない、危うく普通に納得するとこだった。
なになに、やっぱり冗談じゃないってこと!?
『面白い顔やなー』
「し、失礼な!誰のせいだと思って…!」
『俺の、せい?』
「!」
得意気に笑うオサムちゃん。
だけどその含み笑いには優しい表情も混じってて。不覚にもドキッとした。
ダメダメ、仮にも教師なのよ!
『そういえばな、』
「うん?」
『名前の誕生日いつなん?』
「……………」
誕生日も知らなくてあんな事言ってたの?
益々あり得ないじゃない。
『早言えや』
「(なんて偉そうそうな)……2週間後ですぅ」
フーン、と一言。
ちょ、反応薄っ!あんだけ言っといて興味無いんですか?
『2週間、2週間なぁ…』
「な、何……」
2週間以内に
お前を落としたるわ
(!?)
(余裕やな)
(本当に本当に本気!?)
(照れんなや寧ろお前もう俺の事好きやろ)
(どんだけ…!)
(2009)
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