俺様シリーズ | ナノ


 


 01. oneday/4月14日



もうすぐアタシの誕生日。
後2週間と1日ってところで、部室から聞こえてきた皆の会話に感動した。


『もうすぐ名前の誕生日やん。どないする?』

『マネージャーとして、いっつも文句言わんと頑張ってくれてるし派手に祝ってやりたいなぁ』


………まぁ!まぁまぁまぁ!
部室の扉のドアノブに掛けた手を引っ込めた。


『せやな、日頃の感謝込めてプレゼントでもあげよか』

『わいパーティーしたいわー!』

『金ちゃんそれええわ!部活休みにしてパーティーええな』


アイツ等……!
こんちきしょう!アタシ嬉しい!感動した!
でもここは聞かなかったふりするのが筋ってもんよね。
いや、でも口が緩む…


『何やってるん、入らへんのかぁ?』

「オサムちゃん!」


肩をポン、と叩かれ振り返るとオサムちゃん。
あれ、今日職員会議で遅くなるんじゃなかったっけ?まさか教師のくせにサボり?なんてこと!
なんて、そんなことは今この状況でどうでもいい。


『名前、お前なんや凄い顔してるで。ニタニタしとるってゆうか引きつっとるってゆうか』

「いや、ね。アタシ今、猛烈に感動してるの」

『は、』


もうそれは凄絶に!なんて付け加えると、オサムちゃんは煙草に火をつけた。
なによその反応。
じとーーって不満気にオサムちゃんを見ると、


『なんかあったん?感動って』


って聞いてきて。
そうそう、そう言ってほしかったのよ!


「あのね、皆が話してる声が聞こえて、」

『うん』

「アタシの誕生日、なんかしてやりたい、って。普段頑張ってるからって」

『あー、もうすぐ誕生日か』

「うん!それ聞いて胸打たれたのよ!なんだかんだ言ってアイツ等善い奴だなーって。あ、これ知らない振りするからオサムちゃんも宜しくね」

『はー、せやなぁ』


何してくれるんだろ!
うん、あれよ。今日は皆に優しくしてあげたい。


『そんな嬉しいん?』

「当たり前でしょ!たかだかマネージャーを祝ってくれるんだよ?」

『そんなアイツ等が好き?』

「そりゃもう!現金かもしれないけどこの優しさに惚れた!」

『、そらアカンな』

「え?」


アカンアカン、そうぼやきながらオサムちゃんは帽子を取って頭をボリボリ掻いた。
あ、オサムちゃん、灰落ちそうだよ。


『名前、お前欲しい物ある?』

「えー急に言われると悩む…ってゆうか何、オサムちゃんもプレゼントくれるの?」

『あげてもええけど、』

「うわ、嬉しい!テニス部入って良かった!」

『物は俺が決めたやつしかやらんで?』

「全然オッケー!気持ちが嬉しいのよ!」


アタシの環境は恵まれてる!だなんてはしゃぐアタシだったけど、まさか彼のたった一言で思考回路停止する事になるだなんて想像もしなかった。


『ダイヤの指輪』

「えっ、ダッ、ダイヤ!?」

『せや、右の薬指な』


指輪?
ダイヤで、しかも右って、右って……
婚約、指輪?
……いやいや、まさか冗談!


「オサムちゃんもからかわないでよー!」

『何言うてんねん、』

俺は本気やでぇ?


(ほな、そうゆうことで)
(ええ!?どうゆうこと!?)
(部活始めんでー)
(む、無視!?)


(2009)


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