俺様シリーズ | ナノ


 


 02. oneday/4月14日



「はぁー…」


溜息ひとつ。
そりゃ溜息くらいしたくなるって話。

昨日貰った初ラブレター。
初めての告白は仁王に盗られた。盗られたって表現も可笑しいことこの上ないけどその通りだし。
しかも隣のクラスのデブだってゆうし。(100キロ級のアブラ性)
嘘だ嘘だって思ってたけど、あれから廊下ですれ違う瞬間、そのデブは気まずそうに目を逸らす。
アタシは言葉を失ってしまった。

かー…なんてこと…。
それにアイツ、なんて返事したんだろ。


『名前、溜息なんかついたら幸せ逃げていくぜよ』

「…もう逃げてったわよ、アンタのせいで」


いつもの余裕顔の仁王は目を真ん丸くした。
そうね、強いて言うなら、およよって効果音つけたい感じ。


『悪いことしたんじゃなぁ』


何故か急にしおらしくなって。
なんなの、らしくなくて気持ち悪いじゃない。


『そんなにお前さんがアイツと付き合いたかったなんか知らなんだ』

「え、」

『今からでも遅くない、俺がアイツに違うんじゃって説明しに「いい、いい!行かなくていいから!」』


幾ら喉から手が出るくらい彼氏欲しかったとはいっても、アイツはごめんだ。
アブラ性とか、受け付けない。今は初夏なのにこれ以上暑苦しいなんて無理に決まってる。

そんなアタシの反応を見て楽しそうに笑う仁王は憎らしいのなんのって。
そりゃいつもキャーキャー騒がれてモテモテなアンタには分かんないでしょうねアタシの気持ちなんて。


『名前、そんな彼氏欲しいん?』

「欲しい。欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい」

『ウザイくらいじゃな』


やかましい!ともう一発殴ってやろうとしたら軽くかわされた。
余計にムカつく。


『お前さんモテるのにな』

「はぁ?モテたことなんて生きてきた中で無かったわよ」

『気付いてないだけじゃ』


どうせこれも嘘なんだろう。
軽く聞き流したのも束の間。


『例えば1組のサッカー部の奴とか、4組の野球部の奴とか俺が聞いただけでも4、5人は』

「マジで言ってんの!?」

『マジマジ大マジ』


この瞬間アタシのたぎる思いは復活。
もーそれならそうと早く言ってよね仁王君ってば!水臭いんだから!


『今、最高に気持ち悪い顔しとるぜよ』

「うん、聞かなかったことにしてあげる」

『…………』

「えー、じゃあまた告白されるのも夢じゃないかも、嫌だどうしよう!」


妄想して浮かれるアタシを面白くないといわんばかりの視線を向けられる。


「なによ」

『別に』

「あっそ。ねぇねぇ他に誰が居た?」

『秘密』

「ケチ」

『お前さんに彼氏は必要ない』

「は?」

『俺が全力で打ち壊してやる』

「なっ、なっ……?!」


たった今、
俺が決めた


それってそうゆうこと?
仁王ったらなんだかんだいってアタシの事…なんて期待するアタシを余所にアイツは言った。“お前さんと付き合う相手が気の毒じゃ”

(死ね)
(まだ死にとうない)
(うっさいボケ)
(口悪いとモテんぜよ)


(2009)


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