俺様シリーズ | ナノ


 


 01. oneday/4月14日



今日もいつもと変わらない、
そんな日だって思ってた。


「………………」


朝、学校へ来て1番にすること。
靴箱を開けて上履きを出すってゆう行動。
そんななんてことないのにアタシは身体が震えてた。


『名前、おはようさん』

「………………」

『お前さん何プルプルしとるんじゃ?』


そんなとこにクラスメイトの仁王がやって来た。
誰でもいい。
とにかくアタシはこのたぎる思いを誰かにぶつけたくて仕方なかった。


「仁王…」

『ん?』

「どうしよ、ヤバイ」

『何が?』

「アタシ…ラブレター貰っちゃった!!うわ、やっほーい!!」


上履きの上にあった2つ折りの紙切れ。
人生初めてのラブレター。
これが喜ばずにいられる?
きゃあきゃあはしゃぐアタシに仁王は呆れ顔で。


「いやーキタねー。ついにアタシの時代が!」

『不幸の手紙じゃったりして』

「そんな訳ないでしょ!何言ってんの!」

『じゃあ読んでみんしゃい』


オッケーオッケー、とアタシはドキドキしながらラブレターを開けた。


「“昼休み屋上で待ってます”」

『……………』

「ほら見てみろ!告白じゃん告白!」

『今日、大雪かも、』

「アンタさっきから失礼にもほどがあんのよ」


まー頑張りんしゃい。なんて興味もなく仁王は行ってしまった。
冷たい。
もうちょっと浮かれたアタシに付き合ってくれてもいいんじゃないの!?
彼氏居ない歴17年のアタシがラブレター貰ったっていうのに!
そりゃ俺に関係ないって言われたらそれまでですが。
とにかく、アタシはドキドキワクワクしながら昼休みを迎えた。


「どうしよう、格好良い人だったら…やだ困っちゃう!」


根拠もなく格好良い人と決めつけて屋上へ急ぐ。
屋上へ続く階段をひとつずつ上るたびにアタシの心臓が煩くなって。
屋上への入り口に着いた時にはもう頭がおかしくなりそうだった。


「スー…ハー…」


深呼吸をしていざ出陣。
ガチャ、と音を立ててドアを開けた。


『お、本当に来たんか』

「………は?」


アタシを待ち受けてるであろうイケメンはそこに居ない。
代わりに仁王が、居た。
しかも煙草擦ってる。アンタ仮にも運動部でしょーが!


「何で、アンタが居るわけ?」

『駄目なん?』

「駄目ってゆうか………あ、まさか、」

『まさか?』

「仁王がラブレター書いた本に『あり得ん』」


…そんな即答しなくてもいいじゃないか。
まだ最後まで言ってないのに。
でもそれならラブレターの彼は何処?


「………」

『そんなキョロキョロしてもアイツは来んぜよ』

「え?何で?」


クックックッ、と笑いながら仁王は何かを指差した。
は、何あれ……
そこにはカツラと女子の制服。
意味分かんない。何で制服がここに…………
いや、待て。待てよ。
仁王が居て、制服がある。コイツは変装が得意な詐欺師。
脳裏に最悪な展開が浮かぶけど。さすがに仁王もそこまでは、ねぇ。


「あのさ、まさかだとは思うけど、」

『お前さんの代わりに返事してやったぜよ。感謝しんしゃい』

「ハァァァァァアア!?」


何考えてんのコイツ!
馬鹿じゃないの!?馬鹿じゃん馬鹿じゃん大馬鹿じゃない!!


「アタシの初告白返せーー!!」

『今更無理に決まっちょる』

「何偉そうに言ってんのよ!」

『オッケーするつもりじゃったん?』

「そ、れは、分かんない、けど…」

『じゃあ別によか』

「開き直るなーーー!!」


アタシの初めてのラブレター。
さよならアタシの告白。
アタシはフラフラっとその場に崩れた。


『そんな落ち込まんでも、』

「だからアンタが言うなって」

『あはは』

「あははじゃないし空笑いするな!もうアタシ嬉しくって浮かれてたのにー…」


お前さんの
気持ちなんか
知らん


平気でそう言ったアイツをぶん殴ってやった。

(でもデブじゃったよ)
(嘘だ)
(隣のクラスにおるじゃろ、アイツ)
(逆にこれで良かったのかもしれない)


(2009)


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