ベタvs | ナノ


 


 07.



アタシって幸せ
あの人もそう思ってくれてる?


love beta
lb.7 桜色


絶賛昇天中。って言いたいくらいに幸せ真っ只中で風船が浮かんでるくらいフワフワ心地なアタシの脳内は、もし検査でもしてみれば血液も神経も脳も全部が全部ピンク色してるに違いない。ショッキングピンクくらい濃くても良いけどやっぱ可愛く桜くらいの淡いピンクが良いかなぁ……って、色はどうでも良いけど!


『桜色が、どないしたん?』

「へっ、」

『6限プログラミングやったんや?』

「し、白石君……?」


楽しい楽しいお昼が終わって、面白くない5限の授業が始まったまでは覚えてる。5限がプログラミングで6限が普通に数学だったんだけどアタシの手にはキャッスル(言語)の教科書があって。なのに6限がプログラミングって?っていうか他の皆何処行ったの?何で白石君が居るの?


『今日部活休みやから迎え来た』

「え?」

『強引に誘ってまうかなぁ思ってんけど、皆チャイム鳴った途端帰ってったのに名前ちゃんは残ってくれてるから以心伝心でもしたんかなぁって期待したんやけど』

「……………」


ちょっと何これどんな展開どんな状況?
えっと、つまりは既に5限目通り越して今は放課後で、クラスメイトは皆帰っちゃって、それで白石君がわざわざアタシの事靴箱で待っててくれたんだけど来ないから教室まで迎えに来てくれた、ってこと?(あれ、一部妄想が入ってるような…)


『今から』

「、」

『俺とデートしませんか?』


コツン、と何かが音を立てたと思うと白石君が物凄いドアップで、アタシのおでこと白石君のそれがくっついてて、『嫌?』とか眉下げてる白石君が居て……。

あ、あ、アタシ……!


「アタシで、良いの…?」

『俺は、名前ちゃんやから誘うねんけど』

「――――――」


アタシ絶頂期じゃん。
誰が嫌なんて言うもんか!付いてく付いてく絶対付いてく!白石君とデートしたいに決まってる!
神様、こんな平凡なアタシにも幸せの悪戯ありがとう…!(表現がキモいとか言わない)


『ほな此処に入ろか?』

「白石君でもカフェとか行くんだ」

『意外?』

「似合い過ぎて…」

『ハハッ、そっちなんや』


学校を出て白石君の隣を歩いて、すれ違い様ちょこちょこ振り返る女の子達に申し訳無いけど優越感なんか感じてニヤける口元を抑えるのにいっぱいいっぱいだったんだけどさ。白石君が指したカフェがまた…超ーっお洒落で綺麗でセンス良くてさすが白石君ていうか。アタシだってこんなお店あったの知らないし、場数踏んでるって事、かな。そうだよね、白石君モテるし女の子が好きそうなお店くらい熟知してるよね。(あ、言ってて切なくなった)


『何がええ?』

「え、えっと…」

『何でも注文してええからな?』

「そんな、自分でお金出すから大丈夫だし!」

『そんな気使わんでもええのになぁ』

「白石君こそ…」

『まぁええから。注文しよか?』

「、うんアタシはミルクシェイクが良いな」


甘ーいミルク味のアイスが砕けて、ジュースとアイスの中間というか、あの食感がたんまなく好き。このお店にもあって良かったなぁなんて思ってると、白石君は肘を付いたままビックリしたような顔でこっちを見てた。
え、アタシ、何かヘマやらかした?


「白石、君…?」

『、堪忍』

「どうかした…?」

『いや、最近の女の子はミルクティーとかダージリンティーとか小洒落たもん注文するんか思ってたから』

「……それ、アタシが子供みたいって意味?」

『ちゃうって。可愛いって言うてんねん』

「だ、だからそれが子供みたいって言ってるんじゃん…」


そりゃシェイクが好きだとかガキ臭いかもしれないけど。紅茶とかコーヒーとかより全然好きなんだもん仕方ないじゃん…。

ちょっとだけ恥ずかしくなって後悔して拗ねたみたく視線を床へと投げると頬っぺたには暖かい体温。


『な、そんな顔せんで?』

「だ、だって…」

『俺はそんな名前ちゃんに逐一惚れ直させられるんやから』

「え―――」

『あれ蔵ノ介?』


惚れ直させられるって社交辞令?本気?
少なくとも今までの白石君を見てたら後者だって勘違いしたくなる。寧ろ勘違いさせて欲しい、そんな事考えてると後ろからは女の子の声が聞こえて。
、女の子……?


『やっぱり今日もバイトやったんや』

『暇そうなアンタと違って忙しいねんて』

『暇ってなぁ…いつもは俺やってテニステニスの毎日やねんで』

『部活なんか趣味やろ。こっちはお金の為に汗水垂らして働いてんねんから』

『大学生は服に化粧品にブランド品に買うモノいっぱいあるみたいやからなぁ大変やなぁ!』

『お洒落は女の生き甲斐やから』


皮肉混じりな会話だけど白石君は何か、心開いてるみたいに見えて。今まのアタシは調子に乗ってたのかなって、心臓が痛くなった。


『っていうか、今日は財前君とか謙也やなくて女の子連れてるんや』

『可愛いやろ?名前ちゃん言うねん』

『ふーん。彼女?』

「ち、違います…」


自分で否定しておいて哀しくなる。だけどこの人からの視線がめちゃくちゃ痛いんだもん…!


『やって蔵ノ介。フラれたやん』

『今は、の話しや。名前ちゃんは未来の俺の奥さんやもんな?』

「、えっ!」

『蔵ノ介が勝手な事言うてるけど気持ち悪い男には気を付けなあかんよ名前ちゃん?』

「え、き、気持ち悪い…」

『姉ちゃん。阿呆言うてないで働きや。ミルクシェイクとブラックや』

『はいはいお邪魔しました申し訳ないですーごゆっくりどうぞ!!』


“姉ちゃん”
そっか、あの人は白石君のお姉さんなんだ…だったら仲良くて当然だしお店だって…


『ごめんな名前ちゃん。キョーダイのよしみで此処使ってんのに態度悪い店員やろ?』

「そ、そんなこと、」

『せやけど、身内に自慢したかったんやんか名前ちゃんのこと』


グダグダ考えることなんか無いじゃん。目の前に居る白石君を見てるだけで良いじゃん十分だって。
やっぱりアタシの頭は桜色で正解だった。(ビバ!デート!ですよね白石君!)


(20100317)

今回はアンケートお休みします。次回からまたご協力お願いします!


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