02.
ずっと探し続けてた
アタシの赤い相手
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lb.2 好き熱
昨日は家に帰ってからも白石君が触れた頭が熱くて、綺麗で柔らかくて優しい掌がもう。アタシをたまらなく虹色の脳内にしてくれた。頭洗うの止めようかなってくらいに心底ときめいて、流石にちゃんと頭は洗ったけど寝て覚めて朝を迎えた今日だって相も変わらず幸せ一色浮かれてた。
「パパ、朝ご飯何ー?」
『オムライスだ』
「朝からオムライスとか重くない?」
『む。そんな事はない。米には7人の神様が居るのだから感謝して食べるのだ』
「何なのそれ朝から」
スキップでリビングへ行くとやっぱりママは仕事で既に居なくて、主夫であるパパ(弦一郎)がピンクのフリフリエプロンで出迎えてくれた。
オムライスにはケチャップでハートが書かれてあって、普段口下手な分こういうところで愛情表現してくれるらしい。だけど渋すぎる顔には似合わなすぎて、我が父親ながらちょっとだけ気持ち悪い。
「まぁいいや、いただきます」
『むっ!何をしているのだ!』
「何って、ケチャップを全体に伸ばしてるだけだけど」
『きえぇぇぇい!けしからーん!!』
「ちょっと煩いけど」
『む。悪かった』
ハートを形無きものにしたことがショックならしく半狂乱になったパパだけどこれもまた日常茶飯ってことで。
顔はブスッとしたままなのに哀愁背負ってる辺りはちょっとだけ面白い。
「って、ああっ!もうこんな時間じゃん!早く学校行かなきゃ!」
『む。昨日帰って来てから偉く浮かれている様に見えるが』
「様に見えるんじゃなくて浮かれてんの!」
『理由は何だ』
「運命の赤い糸の相手見付けたって感じ?きゃっ言っちゃった!」
『なんと!けしからーん!!!』
「だから煩いってば!」
もしこれがママチョイスのテーブルじゃなきゃちゃぶ台返しでもやっちゃいそうな勢いのパパに、洗面所から持ってきたままだったタオルをぶつけるなり鞄を持って玄関へと走る。
まだオムライスが!って叫ぶ声は聞こえないフリして、早く白石君と財前君に会う為に学校へ急いだ。
「うぷっ。や、やっぱ朝からオムライスは重いってば…」
走って走って迫って来たのは学校じゃなくて吐き気で、寝起き早々にオムライスなんか食べるんじゃなかった。パパももう少し考えてご飯作ってくんないかな。
半分は残したのに気持ち悪いとか信じらんない。(多分1人前1合くらいあったけど)
この気持ち悪さは白石君と財前君を見て癒されなきゃいけないじゃんね、あーっ早く学校!
走る足を競歩に変えて、エチケットの為にガムを口の中へ突っ込んだ時だった。
『おはようさん』
「あ、おはよ、う?」
『良かった、ちゃんと会えたわ』
「え、」
正門を抜けて白石君の居る建築科の教室か、財前君が居る2年の情報科へ行こうかと迷い迷ってると聞こえて来た美声。
まさか、この声……、
『名前ちゃん待ってたから会えへんかったらどないしよ思ってん。な、財前?』
『は、部長は俺の付き添いちゃうんです?』
な、なになに…
ちゃんと会えたとか、待ってたとか、付き添いとか……それって全部アタシへの愛ってこと?
アタシに会いたくて、2人揃ってアタシを待っててくれたってこと?
や、やばい。嬉し過ぎて顔がにやける…!
『、名前ちゃん?顔真っ赤やで?もしかして体調悪いん?』
「あっ、ちが、」
『あー、熱ありますわー』
「っ!!」
財前君の手の甲がアタシのおでこを撫でて、その時伸びて来た手にビックリしてガム飲んじゃった。
だけどガムなんかどうでも良い。白石君の手も素敵だけど、ひとつ下だって感じさせない財前君の男の手がまた素敵過ぎる。
『一緒に保健室行こか?無理したらあかんよ?』
「だ、だだだ大丈夫、だから…」
『ええから行きますよって』
「へっ!?」
『こら財前、相手は女の子なんやからもっと優しく扱わなあかんやろ?』
財前君の声が聞こえたかと思うと今度は身体が宙に浮いて、財前君の肩に担がれた、だとか。本当にアタシどうしちゃったの?も、モテ期、ってやつなの?
っていうか抱かれて(担がれて)るとか、どんな贅沢だって話し!
「財前君、アタシ、大丈夫だから…!」
『うっさいすわ』
「で、でも、」
『名前ちゃん。財前が嫌なら俺が抱っこしよか?』
「そそそんな!」
『ハハ、大人しく甘えとき?俺が抱えてるんちゃうのは少し悔しいけど…』
頑張って学校来たのは偉かったな?
昨日と同じ様に撫でてくれる白石君の手はやっぱり暖かかった。
昨日の今日でこんな風に話して貰えるなんて、感動だし素直に嬉しかった。(好き、好きです!白石君!財前君!)
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まさかのパパ、まさかの真田です(笑)
(20091219)
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