ベタvs | ナノ


 


 01.



平凡だって何だって
人生何が起こるか誰にも分かんないじゃん


love beta
lb.1 白馬の王子×2


適当に朝起きて、適当に学校行って、適当に授業を受けたなら後は適当に家に帰るだけ。
家に帰ったからって特別何をする訳でもなくてテレビ見たり漫画読んだり、気が向いたら宿題でもして。こーんなくだらない毎日を過ごす為にアタシってば生まれて来たの?ううん、きっとアタシはミラクルでスペシャルな一世一代の大恋愛する為に生まれて来たの。って、恋愛ドラマ見てたらそう思うけど…実際良い出逢いなんて早々ありませんよねって。

そんな平々凡々以上に平凡な自分に厭な溜息が溢れそうになってた帰り道、


『ね、今帰り?』

「、」


今時グラサンを頭に引っ掛けたチャラい男の子からの声。何、ナンパ?とりあえずグラサン外さない?


『俺女子高生好きー』

「アタシもチャラチャラした人好きー」

『うわ、相思相愛じゃん!今から何処か遊び行く?』

「んー…どうしよっかなぁ…」


適当な相槌と愛想笑いを浮かべて、どうせ今から帰っても暇だし?これも一種の出逢いじゃん?顔は特別タイプでも無ければ嫌いな訳でも無い、じゃあ着いてっても良いかなぁなんて悩んでるとグラサンの男はアタシの肩に手を置いた。


『こういうの運命感じない?』

「えー、もし好きになったら運命感じるけど」

『じゃあ好きになってよ』


同じ高さで目を合わされて、余計にグラサンが気になりながら(意外にもディオールだし)焦らすみたいに「好きにならせてくれる?」言葉遊びを楽しもうと思ったのに。


『あーあ、ええ男が台無しやなぁ?』

「、え?」

『あ?何アンタ』

『うん?気になる?』

「――――――」


割って入る様に聞こえて来た第三者の声でアタシは呼吸が止まる気がした。


『なぁ、今日一緒帰られへんっちゅうたからってそない怒らんでもええやろ?』

「あ、あの、」

『こら』


話し合わせて。
小さく耳打ちされて、その近さに心臓はドキドキ激しく鳴り響く。


『こんな格好良い男にナンパなんやして貰て贅沢やなぁ?俺妬くねんで?』

「、ご、ごめん…」

『っつーかアンタ何なの?』

『部長ー、言われた通りラブホの部屋取って来ましたわー』

『お、財前ええ仕事するな!ほな仲直りにホテル行こか?』

「あ、は、はいっ」

『はぁ?男連れならさっさと言えよデブス!』


チッ、舌打ちして悔しそうな顔をして背中を向けたグラサン君にデブスとか言われて「ナンセンスなアンタに言われたくない」って返したかったけど正直それどころじゃない。

だって、今アタシの目の前に居るのって……


『はー、酷い男やなぁ』

『っちゅうか今時デブスとか無いですわ』

『せやな、せやから気にする事無いねんで?十分可愛いんやから』

「――――――」


無愛想だけど庇ってくれる男の子、頭をポンポンと撫でながら笑顔を振りまいてくれる男の子、2人に釘付けでグラサン君なんか本当に本当にどうでもいい。


『せやけど大丈夫やったん?何もされてへん?』

「あ、はい…」

『それなら良かったわ』

「あ、有難うございました!白石君も財前君も助けてくれて…」

『、俺ん事知ってるん?』

『同じ制服着てるんやから部長ん事は分かるんちゃいますー?俺はともかく』

「し、知ってますよ、有名だもん…」


そんな事無いねんけどなぁ、苦笑する白石君とさして興味はありませんて感じの財前君だけど、四天工業高校で2人を知らない女の子なんかきっと居ない。

全国区レベルのテニス部所属、容姿は完璧、極め付け秀才だって噂は持ちきりなんだもん。白石君は3年の建築科、財前君は2年の情報科でアタシは3年の情報科だから向こうが知ってるなんてことは無いのが常識だけど。まさか、お話出来るなんて思ってもみなかった。一種のドラム缶越しのアイドルみたいなものだったから。


『ま、俺ん事知ってるならええわ、キミの名前も教えてくれへんかな?』

「、アタシ?」

『うん。これから名前知らんと不便やろ?』


嘘、同じ学校だけどクラスも違うのに名前覚えてくれるの?


「…名前」

『よっしゃ、名前ちゃんやな覚えたで!』


ああ…白石君に名前呼んで貰えるなんて…!
幸せ過ぎて涙出そう…


『部長、初対面でそんな馴れ馴れしく絡んでるから名前先輩涙目やけど?』

「、」

『あ、ご、ごめんな?』

「ちが、そうじゃなくて、」

『こんな事してたらさっきの男と変わらへんな、ほんまごめん』


ううん、感動の涙だから謝る必要なんて無いのに…!おまけに財前君にまで“名前先輩”とか呼んで貰っちゃってどうしよう!本っ当格好良い!


『名前ちゃんさえ嫌やなかったら、明日から宜しくしたってな?』

「こちらこそ…!」

『ありがと。ほなそろそろ行くな?』

「あ、はい!」

『名前先輩』

「はははい!」

『そんな顔して歩いてたらまた部長みたいな男に引っ掛かるんで気ぃ付けた方がええですよ?』

「っ、」

『こら、財前!変な事言うもんちゃうやろ』

『すんませーん俺の口って正直なんで』


さっきまで無愛想だったのに引き笑いする財前君も白石君に負けず劣らず格好良くて。

冗談抜きに、ほんまに気を付けて帰ってな?

もう一度頭を撫でられたら2人の背中を見送りながら幸せを噛み締めたアタシ。平凡だとかあり得ない、アタシ超ついてる。アタシが生まれて来たのも、アタシが四天工業高校に入ったのも全部全部、2人に出逢う為に違いないんだから!それこそ運命ですよね!

(あ、でもナンパに着いて行こうと思ったのは勘違いで、アタシはしつこくされて困ってたんだ、そうそう超怖かったの白石君!財前君!)


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漸く書き始めました。基本的にノリは前回のベタと同じ感じです。
工業高校にしたのは特に意味ありません…クラス変えが無いから顔の知らない女の子が居ても普通かなと思っただけです(><)きっと蔵は薬科大とかそっち方面なんでしょうが建築も格好良いかなぁと思いました。製図の勉強して、インテリアコーディネーターとか素敵です!(っていうか何でも格好良いですよね)
対して光はやっぱりパソコン絡みで情報科です(笑)

そして、今後のアンケートにもご協力して頂けると幸いです!

(20091212)



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