09.
贅沢な悩みほど窮地に置かれる、
アタシ的格言!
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lb.9 神様の悪戯
『たるんどる!!』
父親・源一郎曰く朝から怒鳴りたくなるくらい昨夜からアタシの顔は締まらないらしい。でもさ、可愛い愛娘に向かって締まらない顔が気に入らないってのも可笑しくない?どんな顔してたって可愛いよって言ってくれるパパ希望なんですけど?
だって白石君なら絶対絶対そう言ってくれるもん……っていうかその白石君とデートしたせいで顔は緩みまくりで口だって閉じてられないくらい惚けてんだってば!
白石君と別れたあと部屋に居ても、一晩眠った今だって薄れることのない幸せをどうしろって言うの?お説教はパパの趣味だって言ったって付き合う気にはなれないんだから。
「って事で行って来ます」
『ぬ!何を勝手に纏めておるのだ!』
「今日アタシ日直だから早く行かなきゃいけないし」
『日直…それならば致し方あるまい』
「そうそう!だからバイバイ!」
申し訳ないけどこんな時には適当な嘘に尽きるよね、パパ話し長いし一喝(一発)入れたくても女の子だからって殴れないから何処かの漫画に出て来るママみたいにウサギのぬいぐるみにビンタ始めるからね。純情乙女モードな時にそんなの見てられないったら。
なんて事を考えながら、朝ご飯のお握りをしっかり持って来て、食べ歩きで教室に向かったアタシだけど。
「え、」
いつもアタシが座ってる席には既に先客が居て、机に突っ伏した横顔は見覚えある黒髪とピアスが小さく揺れる。
もしかしなくとも、財前君、だよね…?何でアタシの席で寝てるの…?やっぱり白石君に劣らず寝顔も格好良いんですけど。
『…見過ぎ』
「、」
『視線めっちゃ痛いんやけど名前先輩?』
「お、起きてたの?」
『寝たいって思ってただけなんで』
「そ、か…」
思わずまじまじ見ちゃったアタシもどうかと思うけど。起きてるなら始めから声掛けてくれたって良いのに財前君も人が悪いよね。
だけどそれを口にするどころか、朝から眼の保養を有難うございましたって言いたくなるくらいイケメンの力って凄い。
「でもどしたの、こんなとこで」
『今日の1・2限、2年と3年合同らしいすわ』
「、合同?」
『2人1組でパソコン。因みに俺とペアですよって』
「ぺぺぺペア!?」
『2時間付きっきりで宜しくお願いしますわ』
よ、宜しくって!
いつからそんな話しになったの?アタシ普通にプログラミングの授業だとばっかり…そりゃ先生の話しを聞かないのもしょっちゅうだけど!
でも…。
白石君に気持ち持ってかれてるって思ってたのにこれから2時間ペアだとか。財前君相手に揺らがない自信なんてアタシ無い。
ある意味、これは神様の悪戯なのかもね、なんて馬鹿っぽい?
(白石君!財前君が座った後に自分が同じ椅子を使う事すら緊張するのにどうしよう!)
(20100807)
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