R17 | ナノ


 


 03.



誰かのせいにして寂しくなる、
体温を離さないでって


R17
desire.3 痛む舌


手首を掴まれ言葉を交わさず歩く道。
屋上から廊下に出ればいつもと変わらない生徒達が居て先生が居て、火照った顔を隠す様に光の背中を追った。

光も口にしないけどモテるのに、誰の眼も気にしないで手を離さないで居てくれることが嬉しかった。彼氏居るのに今はやっぱり光しか見えなくて、光が最愛の人みたく感じるのは…熱いせいなのか、光の体温が意外と暖かかったからなのかは分かんない。


『名前先輩』

「え?」

『ここで良え?』

「、図書室?」

『絶好やろ?』


やっと光の足が止まって、やっと光の声が聞こえたかと思えば解放されっぱなしの図書室が視界に入る。
人っ気は無いけど昼休みだし誰が来るか分からないことに変わりはないのに、まさかここで?


「屋上と、変わんない…」

『早々人は寄付きませんよって』

「図書委員とかさ、」

『今月俺が担当なんで』

「……1回も来てないでしょ」

『今日来ましたわ』

「目的違うし!」


クククッ、その笑いはアタシの言葉の“目的”に対する含み笑いで、また羞恥心が溢れてくる。今は何言ったって光の思うツボなんだから喋らない方が賢い、とにかく身体を満たして冷ましてって。


『先輩は焦らされるんが好きなんや?』

「な、何言ってんの…」

『移動中も我慢させられてるんが“つらかった”んちゃいます?』

「、」


眉を上げて眼を細めた光は面白い玩具を手にした子供みたいで、だけどいつもの生意気より“大人”と“男”を匂わせて心臓も簡単に反応する。

どうなん?なんて言いながら本の貸し出しをする受付台に座らされて、その際簡単に浮いた身体がまた情けなかった。体重だって特別軽い訳じゃないのに全てが光を男だって認識させられる為の小道具みたいに思えた。


『どないするん?』


座らさせたアタシの足を持って膝に舌を這わされたならもう。


「早く…」


ぞくぞくする身体に素直になるしかなかった。
彼氏にさえ足を性感体だと思われたことなかったのに。なんだろ、光って存在が淫猥な気がする。


『その顔、皆に見せたりたいわ』

「も、そんな事言わなくて良いから…」

『好きなくせに』


それがスイッチになったように、膝から内ももへと光の舌が移動した時だった。


『こら』

「!」

『もう授業始まるで?』


不意に聞こえてきたのは蔵の声で。離れた光の舌が名残惜しくも、別の意味で心臓が早く運動する。


「く、蔵、何やってんの…」

『借りてた本、返却しに来ただけやで?』

「あ、そう…」

『なんや今日は財前が当番なん?』

『みたいですわ』

『っちゅうことは俺が借りた時も財前が当番やったっちゅうことやんな?サボったらあかんやろ?決められた仕事はちゃんとこなしなさい』

『説教はええすわ』


普通な顔をする蔵を見るとこれから何をしようとしてたのか、バレてないみたいで安堵の息が零れる。彼氏が居ないならともかく、それなのに光とも、とか…きっと軽蔑されるだろうから。そんなことを考えちゃう辺りアタシも凄い臆病で小心者だと思う。

だけど、蔵が本を指定位置へと戻しに行くと、


『お預けっちゅうことで』


光が人差し指をアタシの口内へ突っ込んで、舌を爪でガリッと引っ掻いてくるから。アタシの愛慾はもっともっと掻き立てられた。

最低になりたくない、
でも癒されたい。



(20091215)


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