07.
結局おぶさるっちゅうか引きずる状態で部室へ向かうけど、昔から慣れた体温はやっぱりちょうど良くて、嫌な気はせえへん。
今更過ぎるし柄でもないけど、何でこれが違う男のモノなんやろって思うくらい、やっぱり離したくないって思った。
今日君と冬を迎える
season.7 君と僕の対位法
「どーも」
『皆おはよーっ!!』
『あ、##NAME1##ちゃんおはよう』
『白石君はやっぱり朝から爽やかだね!』
『そらおおきに』
別にマネージャーでも何でもないのに部室に出入りして、周りやってそれが当たり前にみたいんなってほんま可笑しいもんやけど。部長から発された『今日も財前と仲良しやねんなぁ』っちゅう一言で凍り付いた様な顔した男が1人、そっちんがウケた。
『光がね、どうしてもアタシの事おんぶしてあげたいって言うから』
『そうなんや、財前はやらしい男やなぁ?』
『ざ、ざざ財前…』
「阿呆すか。どこをどう見ておぶりたい様に見えるんか説明して欲しいんやけど」
『見たまんまじゃん?』
「無理矢理乗っかっとるだけやろ」
ま、そんなん言うたって謙也先輩からしてみればどっちにしても都合悪いっちゅう話しやねんけど。度が過ぎた時は若干鬱陶しいけどあの人の阿呆面を拝むのは悪くない。無駄に大袈裟やからほんま馬鹿っぽくて笑える。
『##NAME1##、そ、そろそろ、離れても、えええんちゃう、か…?』
『謙也まさか嫉妬?』
『ちゃ、ちゃちゃちゃうし!そんな心狭い男ちゃうもん俺は、』
顔には心狭いんですって書いてますけど?嫉妬っちゅうか焦ってますって書いてますけど?
『フーン?じゃあ謙也がおぶってくれる?』
『へっ!お、俺が?』
『冗談です!謙也は今から練習あるしそんな事出来ないよね』
『え、あ、ああ…』
「##NAME1##、はっきり言うたったらええねんて。謙也先輩にはそんな根性も甲斐性も無いヘタレやから無理やーって」
『ざ、財前!先輩に対して言い過ぎやで!』
「え、歳がひとつ上なだけで先輩らしいことないし思ってへんし」
『アハハッ!光ウケるー!』
##NAME1##が爆笑した事で案の定謙也先輩は萎れて貧乏神でも背負ってくらいどす黒いオーラ纏い出して。ほんま阿呆な男、上から鼻で笑ってやる気分やったのに、
『でも光っ!それ以上アタシの謙也悪く言ったら光でもぶん殴るからね!』
面白可笑しさは瞬時に消えてった。
何やねんそれ。謙也先輩は女みたく赤くなって気持ち悪いしめっちゃ鬱陶しい台詞。
「……うざ」
『うざいとか言わない!そんな事言う光は練習中も退いてあげないから!』
「は?」
『アタシが重しとなって光の筋力アップの貢献を手伝ってあげる』
「やっぱうざい」
『光っっ!いい加減にしないとアタシ傷付くんだから…!』
「はいはい」
向こうから“離れへん”とか好都合やし。おぶって欲しいなら一生しといたるって話しやわ。それで良いならご自由に。
(20100319)
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