04.
2人きりやなくても、朝から好きな子に会えてデート出来るんやって張り切ってたのに。
一緒に居れば居るほど慾は強くなってく。口にする事なんか出来ひんのに。
今日君と冬を迎える
season.4 意気軒昂
『光ー、』
『今日は眠気覚ましのしか持ってへんで』
『うん別に良いよ』
どっちがカップルなんや。そんな寂しさを感じられずには居れへんくて財前と##NAME1##、2人が回しながらハンバーガーを食べるのを見てた。もう何て言うたら分からへんくて黙りを決め込んでた俺やけど今度は何が始まるんや。バーガーも無くなったのに何が起きるねん…!
『ん』
『ありがとーっ!』
「、ガム?」
『うんガム!アタシ、ハンバーガー食べたらガム欲しくなるのー』
「そうなんや」
『ガム持って無かったらわざわざコンビニかスーパー行って買わされるし超面倒臭い』
『光が持ってないのが駄目なんじゃん?』
『自分が持っとけばええ話しやろっちゅうか自分で買え』
『たまたま持ってなくて、たまたまガム代が無いんだもーん』
『その言い訳も聞き飽きたわ』
また変な芸当が始まるんかと思えば拍子抜けや。変哲も無いただのガムに安心、やけど…。
意外とこういう単純な事のんがずっしり重い。今まで2人で生きてきた、っちゅうたら大袈裟かもしれへんけど、財前と##NAME1##は俺が知る前から2人の時間を作って来て、それがマクドのメニューやったりガムやったり目の当たりにさせられる。
##NAME1##は俺を選んでくれたけど、俺は財前以上になれるんか、彼氏という位置にちゃんと収まる事が出来るんか、不安は増えてく一方やった。
『……謙也先輩』
「………………」
『謙也?どしたの?』
「、え?何や!?」
『もう出るよ?ボーッとしてたけどしんどい?』
「ななな何でも無い!すまんな…」
『なら良いけど…』
『……………』
財前に対して劣等を感じるとか不安とか、そんなん絶対言えへん…!##NAME1##を困らせるのも分かってるし、それより俺やってプライドがある。ヘタレや何や言われるけど、それでも気にしいで格好悪いとこなんか見せたくないねん。せやから面には出さへんようにせなあかん、しっかりしいや俺!
『じゃあ3人で学校行こうー!』
『俺パス』
『、ひかる?』
『忘れ物したん思い出した』
『忘れ物?』
『せやから謙也先輩と先に行き』
『あ、うん?』
「財前……」
まさか俺に気使て…?
いや、せやけど財前がそんな事する訳無いねんな。
『………………』
「な、何や」
『別に。謙也先輩の変な顔見てたら頭痛くなりそうや思っただけ』
「へ、変な顔やて!?」
『光ー!謙也は変な顔でも可愛い顔してるんだから!』
「……あんまフォローなってへんで」
『え?』
『あー漫才は2人でやっとって下さい、ほな』
財前がそんな事する訳無いって、そう思うけどやっぱり…。
やって財前て忘れ物するタイプちゃうしわざわざ家まで取りに戻るタイプやない。アイツなら忘れたら忘れたで「そんなん要るん?聞いてませんわー」くらいシラを切り通すやろ。
なんやねん…格好付けんなや。
『変な光ー』
「あー、せやな」
『まぁいいや。アタシと2人で学校行こ!』
「――――――」
##NAME1##の事やから財前を追い掛けるって言うんかと思ったのに。ぎゅっと握られた手は暖かくて、不安を吹き飛ばしてくれる様な気がした。
財前の背中に有難うを溢したのは秘密っちゅうことで。
(20100209)
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