03.
制服に着替える間ベッドの上で俺の鞄を抱えながら早く早くと急かされたら、一生こんな毎日が届く様な気がしてアイツだけを映せる瞳があればええのにって。
脱ぎ捨てたスエットを尻目に二酸化炭素を吐き出した。
今日君と冬を迎える
season.3 ダークホース
マクドに来たなんや久しぶりで、それでも前に来たと言えば##NAME1##しかない記憶に笑ってしまいそうやった。
『うん今日も美味しいね!』
『…っちゅうか、##NAME1##そんな食べるん?』
『えー?』
『ホットドッグとエッグマフィンとハッシュドポテトて…財前なんやブラックコーヒーだけやし対照的過ぎひん?』
まぁ、謙也先輩の言いたいことは分かる。俺が朝飯要らんと言えば要らんし、せやけどコーヒー以外に注文せんかった理由はひとつだけ。
『はい光』
「ん。こういう事すわ謙也先輩」
優柔不断な##NAME1##は2つのパンを半分ずつしか食べへんから。あれも食べたい、これも食べたい、我儘を貫く為にアイツが食べきれへん半分を俺が処理するっちゅうシステムな訳で。
マクドに限らず何処かへ食べに行くといっつもや。最近好きなもん注文した記憶すら無い。
『、つまり2つとも半分ずつっちゅうこと、やんな?』
『謙也大正解ーっ!』
『そ、そうなん…』
きっと謙也先輩の心中は“間接キスやん!”とか“ほんま財前と仲良すぎや”とか渦巻いてるんやと思う。俯いてマフィンを見つめる顔はソレを物語っとるし。
これやから心が狭い男はみっともないですわー。もっと余裕見せんと情けないて、ヘタレに思われるんですよって。
大体##NAME1##みたいな自由人相手に逐一気にしてたらこっちの身が持たんわ。それは俺にも填まる言葉やねんけど。うわ、なんやムカついてきた。
『光ー、ハッシュドポテトは?』
「要らん。全部食べたらええやろ」
『あっそ?じゃあ食べちゃうよ』
半分になったポテトを頬張るアイツを見て今更ながら、どうせ自立出来ひんくせにって文句を浮かべてみて。しかも選んだのが謙也先輩とかやっぱり無いわーって。尻に敷かれまくったらええねん。
なんて、ほんまらしく無い事ばっか考えてはムカつく気持ちをどうしてやろうかと思ってると閃いたこと。少しくらい鬱憤晴らしさせて貰てもええですよね、謙也先輩?
『うんうんっ!ポテトおいしー』
「##NAME1##。ちょっと待った」
『え?』
「俺も食べる」
『あ』
『っ!!?』
『ちょっと光ー!要らないって言ったのに!』
「急に食べたくなったんや」
『えー、何それー』
「な、謙也先輩そういう時もありますよね?」
『、』
頬張った先から少し余ったポテトに噛み付いて軽めに口唇を合わせてやった。今更そんな光景に慌てたり恥ずかしがる様な女やないことは分かってるけど、もう1人は真っ赤になった瞬間真っ青になって、思惑通り。
赤くなったり青くなったり忙しい人すわ。今回はいつかのポッキーゲームの借りを返したっちゅうことにしといて貰えます?
(20100107)
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