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 7.5 夢物語 (1/3)



昔、未来を知りたいと思うことが何回かあった
少しだけ触れた世界は春色で包まれてるような、そんな気がした


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another series 夢物語


「名前ちゃんおはよ」

『、おはよ』


ダブルベッドやのに端っこを余らせて、真ん中で寄り添いながら寝るのは毎日のこと。寝てる間やって離れることはなくてそのまま朝を迎えると、俺の腕に居る彼女は寝呆け眼で緩く笑った。
その顔も見慣れたもんやけど、何度見たって好きやなぁって実感する。好きな人が毎日隣に居ること、めちゃくちゃ幸せなんやなって日夕感じる。


「まだ眠たいん?」

『ちょっと…でも起きるよ、』

「……機嫌は直ったん?」

『あ』

「一晩寝たら直るやんな!」

『け、ケーキの事は許せないから!』


昨日、財前のせいで大きなミスを犯した。めっちゃ美味しいクリスマスケーキを名前ちゃんが作ってくれてたって言うのに、財前が彼女出来たとか突発的なこと言うから。気利かせて、財前と名前ちゃんを2人にさせてあげる為にコンビニへ行った俺は当日余らせてしもたらしいコンビニクリスマスケーキを格安で買うてしもた。安かったらつい、やねんけど彼女にとっては嫌味にしか受け取れへんかったみたいで。まぁそらそうやな、そういう意味ちゃうねんけどそう取られても仕方ない。っちゅうか財前の為に俺が気利かすっちゅうのも可笑しな話しやけど…。クリスマスやのに財前は泊まってるしほんま変な関係やわ。

せやから昨日だけは寝る時も俺に背中を向けて端っこで寝てたんや。名前ちゃんが寝たのを確認して腕枕と擦り寄ってたんは秘密やけど。
トラブルメーカー財前の彼女話しはとりあえず向こうに投げといて、財前が隣の部屋に居ったせいか、ひとつだけ良い事があった。


「朝からそんなヘソ曲げんと、俺の夢の話し聞かへん?」

『何か良い夢見たの?』

「あの子が出て来たんやで」

『あの子?』

「うん結婚して直ぐ、会うたやろ?」

『、本当に?』

「夢やけど久しぶりに会えて楽しかったで?」

『蔵狡い!アタシだって会いたいのに!』

「その内現実で会えるって」

『えー…』


仲直りするキッカケの筈が余計に拗ねる効果を足してしまったかもしれへん。視線を外して眉間にシワを寄せる姿に苦笑してしもた。


『……でも懐かしいね』

「うん」

『懐かしいのも可笑しいけど』

「ハハッ、せやな」

『元気かなぁ…』


せやけど何処か幸せそうな横顔で天井を見上げる彼女を見たら、やっぱり話しをしたのは間違いやなかったなって。

あの子、あの女子高生は名前ちゃんと別に俺が好きな子やから。

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