honest love | ナノ


 


 06.



黒い眼には
何を映すのか


honest love
series.6 おはよう


午前9時、セットしてた携帯のアラームが鳴ると耳から脳まで音が響いて、どんな夢かも覚えてへんけど物語が途切れた。何となく、やけど悪い夢では無かった気がする、眼を瞑ったまま寝返りを打つと心地良い声が聞こえた。


『ひかる』

「、」

『起きてー!もう朝ですよー!おはよう!』

「……………」


とりあえず心地良いっちゅうんは撤回で。
起きた瞬間あの人のドアップとか…そうや昨日泊まったんやっけ。俺が泊まった時は前から頼んでもないのに起こしにくんねんな。それは今日も代わらんて?せやけど眼開けた俺に向けて笑ってるくせに簫簫として見えるんは…俺が寝呆けとるんやろか。


『ちょっと光!今起きたのにもう1回寝ようとしないで!!』

「…寝起きからテンション高くてついていけへん」

『アタシ2時間前から起きてるから』


あーそうか。部長が無駄に早起きやからこの家は朝が早いんやっけか。仕事ん時はともかく休みの日くらいゆっくり寝たらええのに理解出来ひん人やわ。まぁ今日は用事押し付けたんが俺やからしゃーないけど。やけどそういえば先月は6時前に起こされて本気でムカついたん、思い出した。


「はぁ…」

『光ー、溜息吐いてないでおはようは?』

「………………」

『おはようは1日の始まりの合図だよ』

「オハヨーゴザイマス」

『へ、』

「満足やろ?顔洗ってくるわ」

『………………』


いつもなら「5分後にもう1回起こせ」とか愚図ってみたり「チューしてくれたら起きるけど」って変な冗談言うてみたり(今までは冗談て訳でもないけど)してたもんやから素直に挨拶を返した俺に思い切り驚いてた。

…しゃーないやろ。今までとは違うんやから。終わりにするんやから。


『あ、財前おはようさん』

「どーも」

『相変わらず朝弱いっちゅう顔やな?』

「…こんな時間から清々しい顔しとる部長が気持ち悪いですわ」

『早寝早起き、健康の基本やからな』


中学ん時から耳タコすわそれ。夜中までゲームやってた謙也先輩によう怒ってましたよね、鬱陶しいくらい。
それはどうでもええけど新聞片手にコーヒーを飲む姿はもうどっかの親父っちゅうより、何処かのセレブに見える気がして俺の眼は今日イカレポンチになっとるんやと思った。この際、部長がセレブやろうが何でもええけど(実際高給取りやし)、


『光、朝ご飯はお米だよね?』

「…何でもええ」

『うん…全部、食べてね』


俺と眼を合わさんと言うたあの人は俯きがちで、眉を下げてたから。その顔、今日の事が引っ掛かってるん?それとも彼女の存在自体?

名前がそんな事気にする必要は全くないのに、名前には部長が居るのに、俺の眼にはそう映って拙悪にも思えた。



(20100212)

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