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 story.6



治療が終わって学校へ戻ると口に手を当ててブッと噴き出した侑士に、俺の怒りも結構なもんだった。


『名前ちゃんも岳人もどないしたんやその顔…!』

「分かってて言ってんじゃねぇよ阿呆侑士」

『お揃いめばちことか適わんわー!』

「黙れよ侑士」


全てはお前の彼女が原因なんだかんな。っつーか侑士が移されずに俺が移されるのも変な話しだよ。(やっぱり俺が移したとか?いやまさか)


『羨ましいでしょ侑士は!』

『せやなぁ、お揃いの眼帯で仲良しさんみたいやねんな』

『アタシ達仲良いもんね、がっ君!』

「仲良くねぇって」


否定した途端、物凄い顔で睨んでくるから舌を出してやるともっと不細工になった。仮にも彼氏の前で他の男と仲良いとか言ってんじゃねぇよ阿呆名前。


『でも学校一緒に来たじゃん』

「お前が勝手に着いて来たんだろ」

『ひっどい!侑士ーがっ君が苛めるー』

『はは、がっ君は照れとるだけやで』

「、」


頭を撫でて貰って図に乗ったアイツは俺を真似てか、あっかんべーと舌を出してきやがって。あー!まじムカつく!
やっぱり可愛いとか絶対無い。


「勝手にやってろ」

『、がっ君何処行くの?』

「教室に決まってんだろ馬鹿!」

『えーアタシも一緒に行くってば!』

「来なくて良い」

『同じ教室なのに何言ってんの!』

「うっせ――……」


きゃんきゃん煩いアイツを振り払う為に振り返ると、侑士は愛しそうな眼で名前を見てて。
その顔を見るだけで侑士がアイツに本気なんだって分かった。好き、なんだろう。


「……………」

『岳人?どないした?』

「何でもない!侑士の顔にハエが止まってた!」

『え?!』

『侑士顔洗って無いんじゃないの…』

『洗っとるわ!今日もネットで泡立てて洗顔してきたっちゅうんや』

『あ、がっ君待ってよー』

『シカトかい』


何でだよ、何か、心臓が痛い。
侑士が本当に好きだと思える奴が居て良かったのに(この女だってのが信じらんねぇけど)。モヤモヤして、ズキズキ心臓が痛む。


『がっ君、待ってってば』

「…何で着いてくんの」

『だってがっ君と一緒に教室に行きたいし?』

「……………」


ちょっとだけ心臓の痛みが引いた気がする。


『がっ君?言っとくけど、駄目だって言われても着いていくからね』

「…勝手にすれば」

『、本当?』

「知らねー」

『アタシ、がっ君と一緒のクラスで嬉しいなー』

「うっさい!懐くな引っ付くな!」


俺の前でうろちょろうろちょろ歩く邪魔をする名前を本気で退けることも出来ないまま教室へと入った。

まさか、俺って本気でアイツの事気にしてんの?これが恋とか、言わねぇよなぁ?

(やばい笑えねー)(侑士の彼女だぜ?)(やっぱ気のせいに決まってる)



(20091030)


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