08.
憂いと欲念、
脳が感化される
too near
heart.8
I thought that it was soon
in the next even if parting.
職員室で煙草を灰皿に押し付けると窓から見える景色は真っ暗で、電気の灯りが邪魔して星さえも見えへんかった。
仕事もキリがええし、俺もそろそろ帰ろかな。立ち上がって机に置いてた携帯を握ると必然的にクマストラップの名前チャンが揺れる。それを見れば今日もええ日やったなぁて口角は緩んで、帰ったら良眠出来るやろうと浮き足やった。
「あー晩飯どないしよ」
毎日毎日、独身男の食生活は侘びしいもんで余裕があるなら簡単な自炊はするけど、やっぱり仕事終わりで自分1人の為に作る気なんやせえへんかった。ラーメンは昨日食うたし今日は弁当でも買うたらええか、暢気に校舎を出て駐車場へ向かってた。
「、白石の奴まだ残っとるんか?」
せやけど不意に視界に映った部室の灯り、あの白石が電気を消し忘れるなんやせんやろうし部員が帰った後も1人で練習してたんやろう。ここは一時休戦として白石1人なら労いを払って流しそーめんやなくて牛丼でも奢ったろ。
そう思て何の躊躇いもなく部室へと近付いた。
「牛丼、牛丼」
鼻歌みたいに口ずさんでひょいひょいと足を進めたら、
“白石、飯食いに行くでー”
その声は詰まってしもた。
「……………」
何でって、理由はひとつ。
白石の他に人が居ったから。
それが名前で、名前と白石が口唇と口唇を合わせてたから。
……何で?
何でそうなったん?名前はベタベタ男にも女にも懐く奴やったけどそういう一線は越えた事ないのに。まさか今の一瞬で白石に堕ちたん?そんな。まさか。
考えられる要因はひとつだけ、彼氏と何かあったんやっちゅうこと。それなら何で俺んとこやなくて白石んとこに行ったんや?名前ん中で俺より白石のが特質やったんか?それとも偶々なんか?
「ハァ……」
純粋に悔しくて、
純粋に腹が立った。
さっきまで名前の横に居ったのは俺やったのに今は違う。名前が選んだのは白石。
初めて敗者の気分を味わった気がした。彼氏の存在を聞かされた時すらそんな気持ち無かったのに。
「……帰ろ、」
俺が見とる間もなんも気付かんと必死で重ね合う2人に憂き身になって、それでもこの2つ眼は名前の婬奔な顔をしっかり焼き付けてた。
車に乗ってシートを倒せば煙草を口にして、
「…どんな味なんやろ」
名前の顔を浮かべながらアイツの味を探してた。
(20090919)
オサムちゃんがリアルに変態っぽい件についてorz
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