too near | ナノ


 


 02.




大きい人と書いて大人、
別に皆から大きいと思われなくとも、1人を愛せたならそれで良い


too near
heart.2
I thought that it found looking for something.


“陽平”
1人の男の名前で白石の表情が硬くなったのが分かった。今に始まった事やない言うても、しかめっ面は宜しくないで?


「名前ちゃーん?」

『うん?』

「彼氏くんから連絡あるといっつもそっちに集中してまうからオサムちゃん寂しいんやけどー」


各言う俺も寂しい寂しいっちゅうて、そういう気持ち誤魔化せる訳ちゃうねんけどな?大人やから我慢とか、そんな出来た人間やない。


『オサムちゃん寂しい?』

「うん、めっちゃ寂しいなぁ」

『アタシも寂しいー…慰めてくれるー?』

「当ったり前やろ、名前ちゃんの願いならば…せやけど珍しいな?」


彼氏からの連絡ともなれば俺が何を言おうとも『嫉妬とか嬉しー』言うて軽く流されるのが常時やのに、今日は慰めてって…白石も顰めた眉が上がったで。


『何かね、今日会えないって』

「彼氏用事出来たん?」

『みたい…部活終わったらご飯食べに行く約束してたのに、』

「せやったらオサムちゃんが慰めたろ!おいでー」

『行ったら何がある?』

「もれなく頬っぺにチューが待ってんで」

『チューの気分じゃないんだけど』

『ハハッ、オサムちゃんもフラれたな』


名前には悪いけど、会えへんっちゅう一言で俺も白石も気分良くなって。俺の茶気は今に始まったことやないからか、白石は少し緊張が解れたみたいに柔らかく笑った。
茶気、言うてもホンマは全部本気なんやけどなぁ…分かっても名前に相手されへんからて白石も人が悪いわ。


「なんや、これってフラれたことになるんか?ならへんなぁ名前ちゃん?」

『うーん?チューじゃなくてギューって抱き締めてくれたらなんないかな』

「よっしゃ!そら俺の十八番や、大人の包容力見せたるわ」

『えー?オサムちゃん全然大人じゃないのにー!……でも良いかも、』


周りにどれだけ人が居ようとも、こういう性格を曝け出しとるせいか、名前を抱き締めたところで誰も気に止めへん。寧ろいつものことかーくらいで見られてるんやろう。

最低教師のレッテルを貼られようが、この抱き心地を知ってしもたらそんなんクソ食らえや。
理性はあれど本能のままに生きていく、それが俺の生き様やねん。


「良いかもってどうなん?」

『今日はー、オサムちゃんとデートしたいかなって』

「そんなん言われたら期待してまうで?」

『別に良いけど髭痛いってば!頬っぺたに刺さる』

「気持ちええやろ?」


代わりでもええ、デートしたいとか可愛い事言われたら独占欲が溢れ出る。顔と顔を擦り合わせて、背中に回した手に力を込めてこのまま俺のもんになったらええのにーって、思ったまま口にしようとすると、


『オサムちゃん。悪乗りし過ぎや』


食堂で誰も気に止めん中、唯一目くじらを立ててそうな白石に制されてん。
俺の茶気はかまへん思てた筈やのに、意外と乗り気な名前見て焦ったか?


『名前もオサムちゃんが調子乗るようなことしたらあかんやろ?』

『えー…寂しい乙女は優しくしてくれる男の子に寄りかかるもんじゃん?ね、オサムちゃん?』

「せやなぁ、オサムちゃんも寂しがる名前ちゃんの隙に付け込みたいしー」

『オサムちゃんってば考え方まで厭らしいー!』

「素直でええやろ?」

『うん!そういうとこ好きっ』

『ハァ…夫婦漫才やな…』


心底呆れた溜息を吐いた白石やけど、半分以上は嫉妬なん知ってんねんで?
白石は名前を思って受身かもしれへんし実際このままでええんかどう思てんのかは知らん。

せやけどな、俺はこのままじゃ嫌なんや。所詮高校生の恋愛なんやいつまで続くか分からへんし歳を喰って来た分、自分のが名前を大事にしてやる自信もある。せやから俺はお前がどうしようと好きな様にさせて貰うから、見学するんなら勝手にやればええ。



(20090728)


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