嫉妬、
愛する人の心が他へ移るのを憎むこと。
calf love
story.06 in high spirits
『機嫌良さそうやなぁ?』
「んふふー分かるー?」
『ま、それもしゃーないか』
「うん!」
日誌を書きながら自然と溢れる鼻歌がどれだけ幸せ気分に浸ってるかを示してる。
だって光に『聞きたい事は俺に聞き』なんて言われたらじっとしてられないくらい胸がキュンてなって、彼女は居ないってちゃんと答えてくれた事で嬉しくなって、もっともっとときめいた。
『それならもう告白したらええんちゃう?』
「な、何言ってんの蔵ってば!」
『第三者から見てもええ感じや思うけど?』
「そそそそんな!まだ出逢ってちょっとしか経ってないのにー!」
『とか言うて顔はニヤけとるで?しかもその日誌』
「あ、」
照れ臭くて、だけど嬉々を隠せないアタシに、肘を着いた蔵がトントンと日誌を指すとメニューを書く欄には『ひかる』『光』頭の中でを写したみたいに書かれてて。
いつの間に手が勝手に?
これが愛の大きさだよねーとかますますテンションは上がってく。
『名前?』
「うん?」
『はしゃぐんもええけど後ろ』
「え?」
『お疲れス』
「ひ、ひひひひかる…!!」
振り返ればロッカーを開ける気だるそうな光が居て。
クククッて笑ってないで蔵も光が居るならそう言ってよ…!これじゃアタシ馬鹿みたいに告白したと変わんない。
「ひかる、い、いつから居た…?」
『“これが愛の大きさだよねー”てとこですわ』
「ええ…」
その前を聞かれなくて良かったけど、そこも一応重要点なんだからもう少し反応してくれたって良いのに…
いや、顔に出さないだけで気にしてくれてるって可能性も有るんじゃない?
「光っ、今の違うから!」
『はい?』
「さっきのは、と、友達の話で…友達が好きな人に告白するって言うから何て言えばいいのかなって相談されて、」
『…フーン』
え、フーン?それだけ?
兎に角言い訳を必死に並べたのにそれだけなんですか…言い訳不要だったってこと?それとも嘘がバレバレ?失礼なことに蔵なんて溜息吐いちゃってるし。
「あ、あの、光…?」
『何です?』
「ひ、かるだったら…何て言われたい…?」
『告白、っちゅうこと?』
「うん…」
こんな大胆なこと良く言えたなアタシ。
どうせ嘘だってバレてるならとことん聞いちゃったらいいやって半ば自棄だったり。
それでも光が口を開くまで緊張して眉が寄って、やっぱり聞くんじゃなかったかなって後悔もして。
『興味無いスわ』
「へ?」
『せやから興味無いて』
「きょ、み無い…」
それは『興味無い』って言われたいってこと…?光は物凄いMだとか?
変な妄想が頭いっぱい広がって困惑してると光が携帯をパタンと閉じた音を合図に言葉を続けた。
『勘違いしてそうやから念の為言うけど、名前先輩の友達の事なんや興味無いて言うてるんですよ?』
「ひか、」
『俺が知りたいんは名前先輩の事やねんから』
「……………」
『まぁ言うなら、告白の言葉なんや惚れとる相手からなら何でも嬉しいちゃいます?』
どうしよう…何かもう“光が好き”って喉まで出て来てる感じ。
だってそんな言い方、本気で勘違いしちゃう。
『名前先輩、知りたい序でにひとつええですか?』
「、あ、うん?」
『昨日までソレ付けて無かったですよね?』
「!」
自分の首を弄る光を見れば“ソレ”が何を指すかなんかは安易で、明らかに男の子サイズの指輪に『誰の?』視線を投げられる。
これってもしかしなくとも、
「…光、気になるの?」
『ハァ…せやなかったら聞かんのちゃう?』
「ソレって、嫉妬、だよね…?」
『―――――』
そうだよね?アタシが聞くと光は息を洩らしてクスクス笑った。
どうして笑うの!笑って誤魔化してないで答えて?
(20090530)
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