calf love | ナノ


 


 13.



淫慾、
異性の肉体を求めるみだらな欲望。


calf love
story.13 love's love


あの日の昼休み、キスをすればする程、理性というのは徐々に消えて、代わりに淫慾という欲望だけが脳を支配していく。

今やって、フラれたくせに先輩を映した後キスの生温い感触とか、舌を絡めた時の粘着性とか、独特な水温とか、ソレを考えただけで俺の脳は猥褻に犯される。
午後の授業なんやクソ食らえ、浮かべるのは厭らしい事極まりない名前先輩の顔と声だけ。

(抱きたい)

吐息だけ漏らして呟いたら、メチャクチャ先輩が欲しくなった。


  □


「そろそろ、教室戻ります?」

『う、うん』

「……先輩?」


間もなく予鈴が鳴るやろう、名残惜しくも先輩の口唇から離れて立ち上がるけど俯いたまま動こうとせん人。
なんや、顔を覗くと首を掴まれて再度繋がる口唇。


「、」

『光、もう1回だけ…』


もう、我慢なんや限界やった。
好きな女にキスされてせがまれて、足りひんっちゅう顔されたら…欲望に飲み込まれた俺は止まる訳無いやろ。言うとくけど、名前が悪い。


「…単位足りひんとか文句は無しで」

『え?』

「さっき言いましたよね限界て、」

『ひかる、』

「キスだけで終わると思たら間違いですわ…」


此処が屋上やとか、予鈴が鳴って授業が始まったとか、そんなんどうでも良い。
名前が欲しくて欲しくて仕方なくて、口唇が首に掛けて必死に噛み付いた。


『ひかる、誰か来たら、』

「それも名前の興奮剤になるなら有りや」

『だけど……んっ、』

「火点けた責任は取って下さい」

『そんなの、アタシだって、あっ、』

「せやったら何も言わんと喘いだらええやろ?」

『うん……ひかる、お願い…』


羞恥からか、焦燥からか、控え目に声を出す名前が可愛くて。せやけど同時に本気で乱れた姿が見てみたい、本能は掻き立てられる。
雑に制服を捲って下着をずらせば恥ずかしそうに逸らす顔。


「…こっち、見て」

『で、でも、』

「嫌やないんやろ?」

『嫌じゃないけど…あ、』

「見いひんのやったら悪戯しますよ?」

『悪戯って、痛っ!』


胸元をわざと力を入れて噛み付きながら吸えばくっつきり紅い円を作る肌。
名前が俺を監視せえへんなら、幾らでも作ったりますわ。


「ええん?」

『ひかる、だったら…いっぱい欲しい…』

「…嬉しい事言うてくれるやん」


もっと感じて感じて、俺しか見えへんなったらええ。
時間なんや気にもせんと夢中に愛撫を続けた。俺のひとつひとつの行動に逐一反応してくれる身体が嬉しくて、漸く繋がった2つの身体が心底幸せに思えた。

愛撫して感じてるくせにやっぱり物足りひんっちゅう顔と、情事後の脱力感もとい満たされた顔は、ホンマに愛しかった。


『…はぁ……』

「疲れたん?」

『つ、疲れるに決まってるじゃん…』


硬いコンクリートの上に寝そべったままの名前先輩の前髪を掬って失笑する。
腰が痛くて立てへんとか、漫画みたいなこと言わへんスよね?たった1回やで?


「疲れた、だけ?」

『よ、良かったけど…そんな事言わせないでよ…!超恥ずかしい…』

「ククッ、すんませーん」

『意地悪光…』

「お詫びに制服直したりますよって」


大事なところだけは隠しても未だ乱れた制服を戻そうとする気の無い様子に手を伸ばしてボタンを止めていく。
1個、2個、
覗く肌から痕を数えてると名前先輩が不思議そうに俺を見てた。


『なにー?』

「愛の結晶の数」

『ちょ、ちょっとソレ恥ずかしいから…!』

「さっきから“恥ずかしい”多過ぎ。付けて付けて言うたんは先輩やろ」

『そんな積極的には言ってないもん!』

「あれ、違いました?証拠に携帯でムービー撮れば良かったスわ」

『そそそそんなの絶対駄目!駄目だからね光!!』

「分かってますて」


俺は満足してたんやと思う。
一度抱いてしまえばこの人は一生自分のもんやって、離れる事なんや絶対無いって。
消化しきれへん欲望と、しょうもなく未練がましい想いはどうしたら消えるんですか?
教えて下さい。俺は、名前先輩を忘れるなんや出来ひん。



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やっぱり裏は書けません…
気持ち悪い仕上がりですみません。

(20090708)


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