pink++/brother | ナノ


 


 07.



(ver. 椿)


弥『ねえお姉ちゃん、今日遊びに来てたのってお友達?』


仕事で不在の一部を除いた、家族揃っての夕飯の席で不意に弥が気になる発言をして一斉にそちらへ視線が集中した。
それもその筈、昨日の夜は俺の可愛い可愛い妹がわざわざ俺の為にジュースを買って来てくれて、これはフラグ立っちゃったんじゃね?ってテンションぶち上がったのに、名前に飛び付こうとした瞬間隣には平和呆けした様な笑顔をした雅兄が居て。何で雅兄が一緒に居んの、そう突っ込みたくても思わず怯んじゃったのはボケボケ笑顔が一瞬にして真っ黒になったからだ。
普段温厚な奴ほどキレたらヤバイとは思ってたけどまさか雅兄が般若や修羅の仮面を隠し持ってたとは…初めて見ただけに瞠若は隠せなくて抱き付き損ねた。
しかもジュースだって、聞けば俺だけじゃなく兄弟全員、家を空けてた風斗の分まで用意してたって言うし。
そりゃ優しいなとは思うけど何か悔しいじゃん。
きっと他の皆も同じ。だから昨日の今日で名前の話しとなれば揃って聞き逃せない。


「まじで?友達来てたのー?全然気付かなかったし」

梓『っていうか椿も僕も昨日昼間は仕事だったでしょ』

「はははっ!そうでした〜」

弥『お姉ちゃん、あの人と仲良しなのー?』

『え、うん、そうかな?』

雅臣『という事は、やっぱりこの家を本当に気に入ってくれたんだね?嫌いな家なら友達呼ばないよね』

「当ったり前じゃん!俺がこんなに愛してんだから!なぁ名前〜?」

『そ、それは良く分かりませんが…でもまー君は心配し過ぎだよ、アタシ本当に家族増えて嬉しいから』

雅臣『それなら良かった』


またもや平和呆け笑顔の雅兄と、それに釣られるが如く名前までボケボケした笑顔になってるけどちょっと待った。この2人のほんわか空気も気になるけどそれより。それ以上に気になるキーワードがあった。


「…ちょっと、今の何?」

『え?』

雅臣『どうしたの椿』

「どうしたもこうしたも今の可笑しいじゃん!一体何!まー君て何っ!?」

要『確かにビックリ発言だよね、親密になっちゃったの?』

「そこ!親密とか言わない!俺より親密とか信じないから!」


流石に満場一致で怪訝に思ったらしく次に視線が集まったのは雅兄だった。それでも当人は笑顔を崩さないで僕良く分かりませんな顔。


「雅兄がまー君なら俺もつー君て呼ばれたいし!」

『でも、椿君はお兄ちゃんが良いんじゃ、』


きゅん。
そうそれ、お兄ちゃんは棄て切れない。
だけどここでお兄ちゃんを選べば雅兄に負ける気がする。寧ろ実はどす黒かった腹の底でほくそ笑むんじゃ…いやいやでもお兄ちゃんは俺の夢だった訳で…!


「……………、つー君希望で」

梓『萌えより闘いを選んだんだね椿』

「時々お兄ちゃんて呼んで貰えたら尚良し!」

要『贅沢だねーつばちゃんは』

侑介『つうか名前なんか何でも良いだろ!』

要『あれれ、名字じゃなく名前で呼ばれて喜んでたのは侑ちゃんだと思ったのに』

侑介『うるせぇ!!』

『あ、あの、それでですね、』


俺が泣く泣く決意表明したものの、各々好き放題言い始めて収集付かなくなれば話題を切り替えるように言葉をだしたのは名前で。当然名前の声なら、と口を綴じる兄弟一同にちょっと複雑さがあるのは否めない。


『写真、撮りたい、です』

「写真?」

『家族増えたし、皆の写真が飾れるように写真立て買いに行ったから…駄目ですか?』

「良いに決まってんじゃーん!なんならツーショット行っとくー?」

『と、とりあえず皆で1枚、』

「よし、諸君そこに並びたまえ」


三脚なんてモノは無いし、テーブルの上にタッパーやら何やら積み重ねてデジカメをセットすれば、隣に立った名前は喜悦を浮かべて笑ってた。家族写真って言っても家族全員居る訳じゃないし、セットも機材も揃ってない軽い仕上がりなのに、それでも名前は笑ってた。
こんな事くらいで喜んでくれるなら、俺はずっと笑わせてやりたいって、もっと笑わせてやりたいって思った。


『つー君も嫌じゃなければ飾ってね』


あーもうやべー。
つー君、思ってた以上にやべー最高かーいー、やられてる。
でもさ、脱線し過ぎたけど結局友達って、誰?



(20120720)





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -