ベタ連載 | ナノ


 


 06.



風邪じゃないのに熱?

それは科学じゃ証明出来ない話




ベタ6. ときめき注意報




放課後のチャイムが鳴り響く今も、アタシのおでこと鼻はじんじん熱い。もうボールの痛みなんか無くなったのに熱いのは白石君の肌が女の子顔負けの透き通った綺麗な肌だから?ううん、それもあるけど白石君だから、白石君に触れて過剰反応してるの。



『名前ちゃん、今日1日お疲れさん』

「あ、こちらこそ…」

『転校初日で色々あったし疲れたやろ?』

「ううん、そんな事無いよ楽しかったし」



鞄に教科書やら荷物を詰め込みながら満面の笑顔な白石君を見ると、転んだことだってボールがぶつかったことだって良い事に思える。(現にそのお陰で白石君にちやほやして貰えた訳だし)
そう考えれば今日はなんて素晴らしい癒しの時間だったのかしらーってね。ダメダメ、思い出すと口が緩む…!



『そか、それなら良かった』

「うん」

『…それでな、今日の帰りやねんけど』

「う、ん?」



きたきた、これは一緒に帰ろうって言うお誘いじゃない?白石君となら是が非でも一緒に帰りますけど!



『名前ちゃんは大阪初めてや言うてたし送ってあげたいねんけど…今日部活休みなんやけどな、俺とオサムちゃんでミーティングあんねん…』

「オサムちゃんって担任の?テニス部の顧問なの?」

『せやで、もうすぐ練習試合やからオーダー決めるんや。せやからごめんな…?』

「そ、そんな、白石君が悪い訳じゃないし…アタシの家、学校から近くのコンビニあるでしょ?あれの向こうで直ぐだから大丈夫だよ」



とは言っても期待してた分ちょっとショックだけどね。でも仕方ないし、気にしてくれてるだけ幸せじゃんね。(そう思い込むべし)



『うん…どっちかって言うたら俺が一緒に帰りたかってんけど…』

「白石君…」



アタシはその言葉だけで幸せだから…!ロミジュリさながら障害はあろうともそれを乗り越えてこそ愛が深まるのよ…頑張れアタシ!頑張れ白石君!

相変わらずな妄想を繰り広げてると白石君は『、せや』とメモ用紙に文字を綴ってアタシに渡す。
英数字がならんだメモはもしかして…?



『俺の携帯番号とアドレスやから、無事に帰ったら連絡してな?』

「い、いいの?アタシが連絡しても…」

『名前ちゃんからならいつでも大歓迎や。ほな俺そろそろ行って来るわ』



やっぱり白石君の携帯番号なんだ…しかもいつでも大歓迎って!
そんな事言われたらうっざいぐらいにメールしちゃいそうなんだけど。



『名前ちゃんも気を付けて帰るんやで?何やあった時も直ぐ連絡してや?』

「うん有難う…」

『ほなまた明日』

「あ、白石君!」

『うん?』

「い、いってらっしゃい!」

『―――――』



たかたがミーティングに頑張ってねって言うのも変かなって、だけどアタシばっかり気に掛けて貰って、アタシも白石君に何か言いたかったから“いってらっしゃい”なんて言ったけど。
当の本人は眼を真ん丸くした後フッと吹き出す。これまたミスチョイスだったのかしら。(今日何回KYだって思ったんだろ)



『名前ちゃん』

「は、はい、」

『有難う、行って来ます』

「、っ………」



ポンポン、と頭を撫でられながら耳打ちされるとアタシは尋常じゃ無く熱が上がって心臓もドキドキバクバク活性化。

なんだろう、嬉し過ぎて幸せ過ぎて笑えなくて、眉までハの字に下がる。沸々と沸き上がる感情にじっとしてらんなくて白石君が教室から出て行ったのを確認したら即座に駆け出したアタシ。

何で白石君てあんなにアタシのツボ抑えてるの?
舞い上がってどうしようどうしようって走ってると不意に掴まれた腕。な、何…?



『どーも』

「、あ、えっと白石君の…」

『“光”』

「ひかる、君?」



正門を出てコンビニを通り過ぎようとしたところで飄々とした顔してたのは白石君の後輩。
あんな一瞬でアタシの事覚えてくれてんだなって、少しだけ嬉しくて。でも何で呼び止められたの?



『今帰りです?』

「うん、帰りです…」

『フーン。部長は?』

「ミーティングだって言ってたけど、」

『あーそう言えば』



無表情で、でもダルそうに話をする光君は十分イケメンだけどやっぱり白石君の方が好きかもって思うアタシも大概重症。(本当に光君も格好良いんだけどね)



『せっかくやし送ったりますわ』

「あ、嬉しいんだけど家、あそこだよ…」

『近…』

「ご、ごめん」




眼と鼻の先にあるマンションを指すと無表情から怪訝な顔に変わって、何だか良く分からないけど謝らず居られない雰囲気なのは何でなの?(でも送ってくれるって言ったのは気に入られてるからですよねー!アタシまさかモテ期?)



『まぁええスわー今日はご馳走さん』

「ご馳走さん?あ、卵焼き?」



間接キスを思い出して照れ臭いってば!とか1人勘違いな発想を隠したのに、口角を上げた光君はアタシの口唇に指を当てて『こっち』だなんて。



「っ、」

『ほなまた明日』

「……………」



そのまま指を舐めた後、何食わぬ顔で背中を向ける光君にはたまたアタシの熱は急上昇。
ひ、光君に本気でときめいたとか、白石君に言えない…!!(白石君!何てメールしたら良いんですか…!)


(20090601)



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