ベタ連載 | ナノ


 


 03.



想像だけで嫉妬なんて

アタシ愛されまくりなんじゃない?




ベタ3. 嫉妬する男心




気が付くと見慣れない天井が見えて、見慣れない蛍光灯の光りで、ここが学校だと分かった。

ああ、そっか…アタシ白石君病になって倒れたんだっけ…それならいっそ白石君な楽園に連れてってくれればいいのに…
また馬鹿な事を浮かべて身体を起こそうとすると、



『やっとお目覚めですか』

「!」



途端ドアップの白石君に脳は活性化。アタシ白石君が居れば医者は要らない気がする。っていうかそんな間近で美形を曝されると今度こそ昇天しちゃいそうなんだけど…!



『ハハ、ビックリさせてしもたみたいやな』

「あ、うん…急に白石君が見えたから、」

『ごめんな、名前ちゃんが起きたん嬉しかったんや。1時間くらい寝てたから心配やってん』

「嘘、そんなに寝てたの?もしかして白石君その間ずっと着いててくれたの…?」

『当然やろ?保健室に運んだのも俺やで』

「え!?」



ううう嘘でしょ!?こんなベタベタな展開漫画の世界だけだと思ったのに現実?いやいや本当に?まじで?リアルに?



「おぶってくれたのは嬉しいけど、重かったよね…ごめんね、有難う…」

『どういたしまして。せやけどおぶったんやなくてお姫様抱っこや。名前ちゃん全然重ないし平気やで?』



お姫様ホールドですか!!
そりゃあね、漫画では簡単に皆ヒロインちゃんを持ち上げるけど現実問題、腕だけで人1人持ち上げるのは大変だと思うのよ…それを白石君がアタシの為にやってくれたって訳?何でそんな時にアタシ呑気に寝てんのよ馬鹿めが…!!(そんな時だからやってくれた訳だけど覚えて無いだなんて悔しい!)



「ほ、本当に有難う」

『ええって言うてるやろ?それにこんな大役、俺以外の男にさせられへん』



ああ…白石君格好良すぎ…!
ねぇそれってアタシの事好きってことでしょう?そうですよね?
もう本当王子なんだから!



『うん?王子?』

「え、聞こえてた!?」

『王子の一言だけ。どういう意味なん?』

「う、うん?意味?意味、ね、えっと…し、白石君て童話に出てくる王子みたいに格好良い、なって…」

『それは言い過ぎやで?せやけど、せやったら名前ちゃんはお姫様やなぁ』

「アタシはそんな、」

『俺が王子なんやったら、お目覚めはキスが良かったんやろか?』

「へ?」

『もう1回、起きるとこからやり直そか?』

「そそそそんなそんなそんな、こと…!」



是非お願いしたいです!なアタシに『冗談冗談』て笑ってみせる。
口に出してただなんて墓穴掘ったと思ったのにまんまとハマらされて、相変わらず心臓は煩い。
もう少し静まってくれないと、息が上がっちゃいそうになるじゃん…これも全て白石君のせいなのね…!



『名前ちゃん?』

「は、はい!」

『保健室居る序でに今朝怪我したとこ、消毒し直したるからおいで』



引かれる手からドキドキしてるのが伝わっちゃいそうで緊張して、触れるのは二度目なのに全然慣れなくて。今日はいつもの何倍心臓動いてるんだろうって変な事まで考えちゃう。

薬品が揃えられた棚の傍に座ると、オキシドールをガーゼに含ませて優しく宛行ってくれる。
こんなちんけな怪我にここまで丁寧にやってくれる人なんて他に居るんだろうか。白石君以外考えられない。



『そない見つめられると照れるんやけど?』

「ご、ごめ、」

『ううん、俺は嬉しいからええんやで』

「…………」



何でこうもキザな言葉とか優しい言葉がスラスラ出てくるの?
やっぱり白石君は何処かの星の王子としか思えない。(勿論アタシの王子だけど何か?)



『はい、オッケーやで』

「有難う…白石君、手際良いけど慣れてるの?」

『保健委員やからな。とか言うて、テニス部やから消毒とかようやるんや』

「テニス部なんだ…そっか、テニス…」

『マネージャー居てへんから全部自分等でやってんねんで。せやから消毒も洗濯も慣れたもんや』



白石君について新たな発見が出来たところで“マネージャー”というキーワード。
もしやこれは遠回しにアタシにマネージャーして欲しいって言ってるんじゃないの?絶対そうでしょう…!?



「マネージャー、入れないの?」

『欲しいは欲しいねんけど、』

「じゃあ、アタシ、とか駄目かな…」



遠回しに誘われてるんだったらここはもうハッキリ言うしかないでしょ?
白石君、アタシ空気読める女だから安心してマネージャー任せて頂戴!

なんて思ったのに白石君は『うーん』と言葉を濁す。
あれ、アタシまさかのKY?



「急に変な事言ってごめんね、忘れて今の!」

『あ、ちゃうねん、そういうんちゃうんや』

「え?」

『名前ちゃんがマネージャーなってくれたら嬉しいねんで?今より頑張れるやろうし楽しそうやし…』

「じゃあ、」

『…テニス部の奴、無駄に格好良くてモテる奴多いんや』

「そう、なの?」

『せやから、俺が首縦に振らん理由察してくれへんかな?』

「!」



格好良くてモテる奴が多い、テニス部こそ楽園なのねってテンション急上昇なのも一瞬だけで、



『名前ちゃんが世話するんは俺だけがええねん』



ちょっと拗ねた顔して嫉妬を伝える白石君を見れば、それ以上のイケメンがこの世に居る筈が無いって思った。(白石君のお世話なら一生掛けて一生懸命します!)


(20090519)



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