ベタ連載 | ナノ


 


 09.



絡まる腕と引き寄せた腕なら

どっちが素敵?




ベタ9. ちょっとした奪い合い?




ぽわんと花畑が延々と広がる脳内は春一色。
今日はトイレに行っても手を洗いたくないとか、汚ないなんて言葉を打ち消すくらい白石君に洗浄された気がする。だってあの白石君と一瞬だけじゃなくてずっと手繋いで学校に来たんだもん。身も心も浄化されたに決まってる。(とは言っても実際3分くらいの距離でしたけど)

それに誰がどう見たってカップルとしか思えないアタシと白石君の姿がまた優越で仕方ないったら…!
授業中もずっとそればっかり思い出してはニヤニヤして、すっかり光君の事なんて頭から抜けてたの。(断じて単細胞じゃないから)



『名前ちゃん、今日もお昼一緒してええ?』

「う、うん!勿論!」

『ほな昨日と同じ場所行こか?』

「う『ちょっと待った』」



白石君の事を考えてれば午前中の授業なんかあっという間に終わって、今からまたラヴラヴランチだわーとか浮かれるアタシを制止させるが如く重なった声と首に巻き付いた腕。



『…財前、ココは3年の教室やねんで?』

『せやから何です?』

『何しに来たんやって言うてんねん』

『何しにて、俺がこの人に会いに来たらあかんの?特別な仲やのに』

「ひひひかるくん…!じょ、冗談はその辺にして頂いて…!」



そうだよ、何すっかり忘れてんの?
幾ら白石君が1番だって言っても昨日から光君にもドキドキしちゃって、帰りに光君と会った事、白石君に話さなきゃいけなかったのに…
それにそんなに密着されるとまたドキドキしちゃうんだけど…!(しかも白石君の前なのに誤解されたら!)



『財前、冗談は顔だけにしとき?』

『珍しく余裕無いスね部長』

「、」

『俺が本気なん、分かってない訳ちゃうやろ?』



途端、グイッと引っ張らた腕のせいで光君から白石君へダイブしたアタシ。

何これ…アタシの奪い合い?
ちょ、ちょ、ちょ、超幸せなんですけど!こんな美形2人に迫られるなんて美味し過ぎない?
それならそれで存分にやって下さい、アタシも心底幸せ感じるんで!



『まぁええスわ』



だけど光君があっさり引いちゃうもんだからアレ、って。(愛の諍いは何処に?)
ちょっとガッカリしてると差し出されたのは見覚えある携帯電話。



『落とし物スわ』

「え、アタシの携帯?」

『朝あの後落として行ったん気付いてへんかったんです?』

「そうなの?わざわざ有難う…」



今の今まで携帯が無いことに気付かなかったアタシもどうなの?
そっか、白石君さえ居てくれれば携帯なんか必要無いんだ。(これぞ白石君効果!)



『っちゅうか朝て…名前ちゃんと財前何やあったん?』

「え?や、べ、別に…!朝会っただけだよね」

『会っただけ、かは分からんけど?』

「ひひひかるくん!!だから誤解を招く様な言い方は止めてって!」



白石君が気にして顔を歪ませてくれるのは嬉しいけど、本当に嬉しいけど…!ヘタに誤解生んじゃうと弁解が大変じゃない…
こんな事ならとっとと白石君に話しておけば良かった、なんて思うと光君は他人事みたいに話題転換しちゃって。



『朝直ぐに渡そうか思てんけど変なオッサンに気取られてしもて』

「変なオッサン?」

『名前先輩見ながら可愛い可愛い言うて息荒くしとったんですわ』

「ええ…気持ち悪い…」

『何やそれ…ストーカー?否、変質者…どっちにしろ名前ちゃん気を付けなあかんで?』

「う、うん……」

『全身真っ白のスーツにグラサンやったからな、ホンマ危ない奴や思いますよ』

「は、全身真っ白?」

『何や覚えあるんです?』

「ま、まさか!ないない!」

『せやけど財前といい変質者といい…ホンマ最近危ないわ』

『何で俺が入るんスか』



2人の会話を楽しむ場合じゃなく身に覚えありすぎる変質者に頭を抱えるのはアタシ。
まさか、まさかね?
だけど仮に本物の変質者でも白石君が守ってくれるんじゃないかって思う辺り自信過剰で、それなら何でも出て来て下さい、だとか可笑しいの?(白石君!か弱いアタシを守る姿はもっと格好良いと思います!)


(20090611)



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