01.
君に出逢えて
君に恋をした
神様がくれた未来に有難うを
pulsation.1 お届けもの
昼休み、購買で買ったパンを片手に教室まで来る姿は今じゃ当たり前になった今日。
『ハァ?』
「いや、だからね、ノート提出しに行って来る」
『そんなもんどうでもええやん』
明らかに不機嫌そうな色を出す光にちょっと嬉しくなる。
だって、ノート提出に行く時間をも惜しんでくれてる訳でしょう?(早く昼御飯を食べたい気持ちもあるんだろうけど)でもね、流石に提出しない訳にはいかないのよ…
「光、コレ出さないと毎日補習だって言われてるんだけど」
『早よ行き』
「はーい行って来ます」
光と付き合い始めてからと言うもの、光と一緒に居たいからお手伝い感覚でやってた臨時マネージャー。それさえも当たり前な日常になって、補習をさせられると部活に顔を出せなくなるのを嫌がってくれる。
これは自信過剰なんかじゃなくて、本当に光はそう思ってくれてるからすっっごく幸せ。
『財前の相手は俺がしといたるから早よ行ってき?』
『部長が俺に相手して欲しいの間違いやろ』
「うん!蔵に構ってあげながら待っててね!」
『(このバカップルは…)』
兎に角、早くノートを提出して1分でも1秒でも長く光と一緒に居たい。学年が違うもんだから放課後以外は昼休みしか一緒に居られないんだもん。少しも無駄にしたくない。
「先生!持って来ました!」
『お、忘れず持って来たんやな』
職員室へ入って教科担任にノートを渡す。受け取ってもらったのを確認して直ぐ様Uターンなアタシを何かが邪魔をした。
『待ちなさい。話は終わってへん』
「せ、先生…」
『部活も恋愛も結構な事やねんけどな、学生の本分は勉強やねん。課題提出が遅れたから、こういう事になったんも分かっとるな?』
ごもっともですよ先生。
1週間前が期限だった課題が出来なかったのはマネージャーして光と遊んでばっかり居たからです。
だけどね、だけどね、こうして代償のノートも無事に提出したんだし、
「さよなら先生っ!」
『は?……逃げ足だけは早いな…』
此処で先生の長ったらしいお説教聞いてる程暇じゃないの。幾ら勉強が大事だって言われたってアタシは光が一番なんです。ごめんね先生。
光が居ればそれだけで生きていける自信がある、正に恋は盲目ってやつ。
「ひか――、」
駆け足で戻った同じ道、教室に入った瞬間呼んだ名前は最後まで声にならなかった。
光ただいま
見えた景色は、蔵を含めて3年のイケイケギャルな先輩方に囲まれた光。
ひかる…?
『光君、うちも相手してくれへん?』
『せやでー!うち等光君に好きな子居るって聞いてたから諦めてたのに他の子と付き合ってるらしいやん!』
アタシ以外にも光を好きな人は沢山居る。きっと先輩達だけじゃない、光のクラスにもアタシと同い年の子だって沢山沢山居るんだと思う。
光を好きだと思って貰えるのは嬉しい事だけど、やっぱり嬉しくない。
『先輩等が相手してくれるんです?』
『あったりまえやん!光君が相手してくれるなら彼氏と別れるわ』
嫌だ、光はアタシのなの。ずっと片想いしてやっとアタシの光になったの。
近付かないで、それ以上近付かないで。
『そら有難い話ですわ』
『ホンマ!?』
光、何言ってるの?
『せやけど俺、ゆきしか見えへんのですわ』
「―――――…」
“視力悪いみたいで、アイツ以外の女見えへんらしいわ”
それは甘くて甘くて、
『うわ、惚気なんや聞きたないな』
『羨ましいだけやろ部長』
『鬱陶しい、が正しいわ』
『しゃーないですやん。ホンマな事やし』
それはピンク色の愛。
ねぇ光、アタシが居なくとも光が愛をくれるだなんて幸せ過ぎてどうしたらいい?
『…、ほな俺行って来ますわ』
『行くって何処に行くんや?』
『勿論昼飯食べに』
『……程々にしときや』
『はいはい、分かってますて』
(今すぐ部室に来て)
兎に角2人きりになりたくて、アタシの愛も光に受け取って欲しくて、新規メールを作成。
光、愛は届いた?
(こんな処に呼び付けて何やってんねん)
(誰にも邪魔されたくなかったんだもん)
(ソレ、何されても文句言えへんで)
(寧ろ希望してるんですけど)
(ゆきも大概重症やな)
(だって光病だもん)
(…大歓迎や)
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