affection | ナノ


 


 affair.08



君の眼に映るのは
どうか僕であってほしい

僕だけを見て下さい





affair.8 Please look only at me.






予備校が終わると、僕の携帯が激しく振動した。

“隣のコンビニで待ってる”

それは名前からのメールで、昨日番号交換して以来初めてだったから凄く嬉しくて、思わず保護をしたんだ。


でも…
どうして隣のコンビニで待ち合わせなんだろう。教室か入り口でいいんじゃないの?
疑問は浮かぶけど答えは分かってる。きっと白石のせいだから。
白石にバレたくないんだ、僕と一緒なこと。



「……本当、悔しい」



それでも2人で過ごせることが嬉しくて急いで教材を片付けてコンビニに向かった。



「えっと…あ、居た居た」



名前は中で雑誌を読んでて、僕はガラスを軽くノックして手を振った。

それに気付いた名前は、あ、という顔をして店から出て来てくれた。



「ごめんね、待たせちゃったかな」

『待ってないよ、ちょっと読みたい雑誌あったから直ぐにコンビニに走ったけど』



アハハ、なんて笑うけど。
それは信じていいの?本当に雑誌が読みたかっただけ?



「それで雑誌はもういいの?読むまで待ってるよ?」

『大丈夫大丈夫!見たいとこは読んだから』

「そう。じゃあ行こうか」



そんなにニコニコされたら、やっぱりその笑顔を信じたくなっちゃって。
深く突っ込むような野暮な事は止めておいた。

そして近くのカフェでお茶をする僕達は至って普通の空気が流れてたんだ。無論、僕はこの空気が堪らなく好きなんだけどね。



『昨日周助から皆の番号教えて貰ったから電話してみたんだ』

「へー、誰にかけたの?」

『とりあえず英二にかけたよ』

「そっか、何か言ってた?」

『第一声は“バカバカバカ!”って言われたー』

「フフ、皆心配してたから」



黙って居なくなった名前を僕は必死に探してたけど、皆だってしょっちゅうメールや電話入れてきて見つかった?って聞かれてたんだ。

恋愛感情じゃなくとも、青学にとって名前は絶対的な存在だったって事なんだよ。



『それでねアタシがごめんって謝ったら“ごめんなんかじゃ済まさない”って益々怒っちゃって超ウケたー!』

「英二は名前と仲良かったから何も言ってもらえなかったことショックだったみたい」

『それでもあんなに怒ることないのに!』

「それだけ名前の事考えてくれてるんだよ。英二だけじゃない、皆も僕だって。名前が居なくなって気が気じゃなかったんだから…」

『…………』



逢えて良かった。その気持ちを込めて名前の頬に手を添えると、名前の肩が軽く跳ねて少し赤くなった。
本当可愛い反応してくれるんだから。僕、止まらなくなっちゃいそうなんだけど。
そんな幸せムードな僕を余所に、名前はアイツの話題を出した。



『で、でね!その後英二に蔵の事話「名前」』

『しゅ、すけ…?』

「彼の話はしないで」

『…………』



聞きたくない。
名前が気に入ってる男の話なんて。僕の知らない君なんて要らない。



「…まぁいいや、丁度いい機会だからハッキリさせようか」

『、え?』

「名前、白石の事好きなの?」



ねぇ、好きだなんて言わないよね?



『な、何言ってるの…?』

「そうだよね。何言ってるんだろうね僕」

『そ、そうだよ、ビックリさせないで「だって名前は僕の事好きなんだもんね」』

『え……?』

「高校の時から好きだったでしょう?ほら、僕が触れたら赤くなるのが何よりの証拠」



アイツが好きなんて言わせない。
僕じゃなくて他の男の事なんて考えないで。



「今日話があるって言ったでしょう?」

『…………』

「僕と付き合ってほしいんだ」



耳打ちすると、また名前の肩は跳ねる。



『で、でも、アタシ…』

「あのね、本当の事言うつもりは無かったんだけど聞いてくれる?」

『、』

「僕、本当は大学受かったんだよ」

『え、受かった…?』

「でも名前と約束したじゃない。一緒に通うって。だから大学蹴って大阪まで探しに来たんだ」

『…嘘…本気で言ってるの……?』



名前の眼はユラユラ揺れてた。

ほら、もう僕の事しか考えられないでしょう?
名前の為に、名前だけを想ってこんな事したんだ。その気持ち分かってくれる?



「本気だよ。こんな嘘吐かない」

『……………』

「名前が好きなんだ。僕と一緒に居て…?」



こんな言い方、卑怯かもしれない。イエス以外に答えを出させない言い方。

だけど卑怯だって最低だって言われても構わない。君が欲しいんだ。君が居ない生活はもう考えたくない。



『うん…アタシも、周助の事好きだったよ…』

「…有難う」



僕を好きだと言った名前は何処か切なそうな顔をしてた。

でもいいんだ。僕の傍に居てくれると言った以上、幸せにしてあげるから。


ねぇ名前、僕から離れないで。





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