affection | ナノ


 


 affair.16



叶わなくても
好きでいていいですか?


褪せる事がない想いなんです





affair.16 fade






昨日、あれから名前とは連絡も取らへんかった。
いつもならメールか電話がきて『おやすみ』って言うてくれてたのに。それが当たり前やったけど、ホンマに嬉しかった。

今日は家に帰ってからどうしてたとか、今から寝るとか、休みの日やったら今起きたとか…全てを観せてくれてる事、幸せやんな…
せやけど、連絡も来おへんで、鳴らん携帯とにらめっこなんやしてると改めて名前との距離を感じてしまう。


もう、戻れへんのかな…


情けなくも溜息ばかり出てきて、ソレを止める事も出来んまま教室へ足を一歩入れた。



「…………」



授業が始まる時間ギリギリで入ったっちゅうのに、いつも俺等が座る席には誰も座ってへん。
名前、今日来てへんねや…少し、ほんの少しだけ、顔を合わさずに済んだことに安心したけど…それ以上に寂しいと思った。


当たり前が無くなる

嫌で嫌で、俺の生活の中心は名前でしかなくて、耐えれへんって、そう思たのに……







『こら!ボーッとせずしっかり聞きなさい』



授業始まって早々注意を促す講師の声。
俺の事か思って声の方へ視線を移すと、真逆の席に座る生徒の事で。なんやビックリするやん…

肘を付いてシャーペンを回してると、カシャンと小さい音を立てて机を転がっていく。指から擦り抜けていったシャーペンの理由、
それは俺が固まってしもたからや。指を動かす事すら出来ひんほど愕然としてしもたんや。



『ちゃんと真面目に授業受けるんやで?』

『はーい、スミマセン…』

「…………」



反省なんか見えへん声色で講師に返事するのは名前やった。
俺の隣の席から遠く遠くに座るアイツ。


ああ、ホンマに戻れへんのや


名前の答えは明らかで。
正に二度目の失恋みたいな、そんな感覚。
“不二の事好き?”“嘘を付いてる”
そんなのはただの俺の勘違いで、名前は不二が好きなんや…アイツは俺が好きなんちゃうんや。



「…痛いなぁ」



誰にも聞こえへんくらいの声で呟けば切なくなって。途端、瞼は熱くチカチカと痛みが走る。瞼が痛いんか、心が痛いんか、よお分からへんけど普通に泣いてしまいたい思いやってん。

男が泣くなんや情けない。謙也じゃあるまいし。
せやけどな、それくらい…否、自分が思っとる以上に名前が好きで好きで仕方あらへんねん。

もう諦めろ?
仮にそう言われても。
無理や無理や、絶対無理や。

ただ…
“名前”を諦める事はしてもええ。

でも、
“名前を好き”って気持ちは止めへん。止められへんねん…



せやから、
どうか好きでいさせて下さい。




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