sequel.15/story of final
Sincere love that wants to be sent to you (1/2)
もし永遠があるとすれば
私は今の想いを貫く事を誓います
大切すぎる貴方とあの人へ……
sequel.15〜story of final
Sincere love that wants to be sent to you
「結局、連絡無し、か…」
アタシが家を飛び出して3時間。
その間蔵からも光からも連絡は無かった。
そりゃ、自分から出て行ったわけだし追い掛けて来て欲しいとは言わないけど……
でも連絡の1つや2つくれたっていいんじゃないの?
まぁどうせ男2人で飲んで盛り上がってるんでしょうけど?
「…やっぱムカつく…」
苛々する気持ちを押さえる事が出来ないまま家のドアを開けると、
「ただいま、……あれ?」
物音ひとつしない真っ暗な部屋。
ビール片手に盛り上がってると思ってた蔵と光は居なくて、作っておいたご飯もちゃんと食べて片付けまでされていた。
何で?
どうして居ないの?
アタシの事なんか無視して何処か飲みに行ったって事?
「うわ、そうだったら超ムカつく…!」
今にも苛々が爆発しそうなアタシがソファーに座り込むと、テーブルに置かれた小さな紙切れに気が付いた。
「何これ、メモ?」
ソレには蔵の綺麗な字で、
“上司のパーティーに呼ばれたから財前と行ってくる。
名前ちゃんも帰ったたらすぐに来てほしい。絶対やで”
住所と一緒にそう書かれていた。
「パーティー?何パーティーって」
訳も分からないアタシは携帯を取り出して蔵に発信。
トゥルルル、コールが切れる事は無くて蔵は電話に出ない。
「意味分かんない!」
勝手な事ばっかり言って!
この際無視してやろうか、なんては思ったけど。
……………寂しい。
蔵と光が居ると信じてた空間に誰も居ない、それがアタシには耐えられなかった。
直ぐにタクシーを捕まえて指定された住所まで向かう。
途中、光の家の前を通ったけど光の部屋はやっぱり真っ暗だった。
光も、居るのかな…
なんて思ってるとタクシーは停まって、到着しました、と言われた。
「…、凄い………」
車から降りると、真新しい高層ビルが目の前に建ってて、こんな所に住んでる人が居るんだなぁって。
蔵の家ですら凄いと思ってたのに比じゃない。
このマンションの0720号室に行けばいいんだよね。
軽く自分の服を見直してゴミが付いてないか確認するなり、エレベーターのボタンを押した。
蔵の会社の人に会うなんて初めてだし、凄い緊張する。
心臓に手を当ててスー、ハー、と深呼吸をするとエレベーターは開いた。
「えっと、何処だろ……あ、あった0720」
通路を歩いて部屋を見つけると、アタシはインターホンを押す。
蔵が出て来てくれたらいいんだけど。そう思って暫く待ってたものの、
「誰も出て来てくれない……」
盛り上がってて気付かない、とか?
勝手に入っていいのかな……
気が引けるけど、このままずっと玄関先で待ってるのもアレだし、アタシは恐る恐るドアを開けた。
「失礼します…」
あれ?
灯りはついてるけど喋り声なんかしてなくて、新築そのものの匂いがアタシの鼻を刺激する。
どういう事……?
一番奥のリビングらしきドアを開けると、そこはもぬけの殻で何も無かった。
「ハァ……?」
蔵に騙された?それとも場所間違えた?
アタシが軽くパニック状態になってると、カウンター式のキッチンの上で何かが光ったのが見えて。
「何だろう……、え?これ……」
小さな箱に入った輝くモノ、それは大きな石が付いた指輪だった。
どうしてこんな物がここにあるの?
不思議で頭を傾げてると、
『名前ちゃん』
「!!」
腕を組んで壁にもたれる蔵が居た。
仕事に着て行った背広ではなくてシワひとつ無い綺麗なスーツを着て。
「蔵、どういう事?アタシ、さっぱり……」
『…………』
「く、蔵?」
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