ふたり夢うつつ


枕を変えた覚えはないのに、硬くて寝心地が悪いのはどうしてだろう。
いつも使っているふかふかの枕が欲しくて腕を伸ばすと、指先に髪の毛が触れた。そこでやっと、彼の体の上に寝かされていることに気がついた。

「義孝…?」

お腹の下がむずむずする。何かがおかしい。ゆっくり体を起こした後、下半身を見て目を疑った。違和感の正体は、秘部に挿入された性器だった。

「きゃあああ!!」
「おい…朝は静かにしてくれ」
「寝てる間にするなんて最低!強姦魔!」
「強姦じゃない。許可はとった」

犯罪者扱いをされて心外だという口ぶりだった。覚えていないのかと尋ねられて、私は数時間前の出来事を回想し始めた。


長い指と熱い唇と、逞しい体。彼は、何度も私を悦ばせてくれる。
どういう気分なのか、昨夜の彼は少し意地悪だった。丹念な愛撫を施して、達しそうになると動きを止めて、何度も焦らした。そのせいで敏感になった体は、挿入されてすぐに果ててしまった。

「あっ…私だけ先に…、ごめんね」

こんな状態になったのは彼のせいだけど、そこはお互い様ということで、私なりに彼を気遣ってみせた。

「義孝も気持ちよくなって」
「ああ…」

気だるげな返事をした後も、彼は動こうとしなかった。たぶん、私が落ち着くのを待っているからだ。唇が重なって、小さなリップ音を立てて離れる。繋がったままでこれを繰り返した。

「唯子…」
「なに?」
「ずっと、ここにいたい」
「ん…いいよ…」

彼が優しく微笑んだのを見て、幸せな気持ちで満たされた。でも、その後のことは覚えていない。ここ数日、残業が続いていたから、少しずつ溜まった疲労がピークに達して眠ってしまったんだろう。


「思い出したか?」
「ごめんね、ひどいこと言って。でも本当に入れたままなんて…んっ」

繋がったままの体を器用に抱き上げて、ベッドに寝かされた。いわゆる正常位の体勢になると、結合部がはっきりと見えた。

「そこ、ずっと硬いままなの?」
「いや…硬くなったり、萎えたりだな」

その様子を想像するとなんて生々しくて、聞かなければよかったと思った。実際に私の中に入っているのだから、今更生々しいも何もないのだけど。


「あっ…!?」

体内に収まっていた性器が動き出して、急速に大きさが増していく。中があっという間にぎゅうぎゅうになってしまった。

「唯子…」
「やっ…大きくしないで」
「少し、我慢してくれないか」

先端の張り出した部分が、感じる箇所を容赦なく擦って、眠気が一気に吹き飛んだ。
顔を上げると、眉を寄せた苦しそうな表情が見えた。いつもそうだ。縋るような瞳で見つめられると、多少強引なことをされても受け入れてしまう。

「むっ…絡みついてくる」
「あぁっ…!これ、激しいっ」

どんどん動きが早くなる。辱めの言葉を掛けられても、気にしている余裕はなかった。耳元で掠れた呻き声が聞こえると同時に、奥深くで膨らんだものが、びくんと震えた。

「ふ…ぁ…」

ゆっくりと性器が抜かれた後、濡れた秘部が微かに痙攣するのがわかった。中途半端に刺激を与えられて、次は私が我慢できなくなってしまった。

「今度は、私が動くから」
「そんなすぐに立たないんだが…」
「わかってる」

結局睡眠不足は解消できないままで、今日もまた、午後に襲ってくる強烈な眠気に耐えなければいけない。
いっそ堂々と居眠りをして、彼に罰を与えてもらうのも悪くないかもしれない。


2018.8.21
タイトル:夜半

 

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