青い青い空はどこまでも続き、のんびりと雲が流れていた。今日は絶好の外で過ごす日和なのだが、あいにく私はそこまで暇ではなかった。
中忍試験、その試験官の中に含まれていたりする私は、第一の試験が終わるのを待っていた。イビキさんが試験官だから、きっと怖いんだろうなあ、なんて。
「ハル、団子食わないの?」
『…もう飽きたよ。さっきからそれしか食べないのによく飽きないね、アンコは』
「飽きる?馬鹿を言え」
飽きるはずなんてないだろう、と彼女は食べ終わった串をどこぞの木に投げ刺し、次のソレへと手をのばしていた。木に刺さった串で何やらを描こうとしているようなのだが、それが何なのかはまだわからない。
「お、そろそろね」
『え、』
「第一の試験が終わるわ、もうすぐ」
そう言って彼女はもう一つ団子を手に取った。
『じゃあ行きますか、』
「私はとっておきのを用意してるから、」
『あー、じゃあ私先に行っとくよ、』
彼女がどんなとっておきを用意しているのかはしらないが、付き合っているとあんまり碌なことにならない――恥をかく――から、私は早めに彼女を離れた。今までそうやって何度もみんなの前で恥をかかされた、もう同じ過ちを繰り返すものか、と。
階段を上り、漸く3階に着いた時、聞き覚えのある声が響いてきた。「“第一の試験”合格を申し渡す!!!」と、拷問・尋問のエキスパートのソレは静まり返った忍者学校中を駆け巡った。
どれくらい残ったのかなー、と考えながらその教室の扉に手をかける。終わったんだから入ってもいいよね、と一瞬ためらいはしたのだが、ガラガラと扉を開けた。瞬間、中に残っていた下忍君たちの視線が一斉に集まる。
『…お邪魔しまーす、』
間が悪かったのかな、とその時漸く気が付いたわけだけど、入ってしまったものはどうしようもない。試験官のイビキさんを見れば、フー、なんて軽くため息をついている。
「…もう少し入るタイミングがあっただろ」
『…外で待ってた方がいいですかね、やっぱり』
「いい、もうすぐ終わる」
じゃあ、こんな二択はどうかな、と彼は再び下忍君たちに話を始めた。私はそれを教室の隅で聞きながら、アンコがまだ来ていないことを知る。ああ、アンコと一緒に来た方が恥をかかなかったかな、なんて。
「キミたちの健闘を祈る!」
おっしゃー!!祈っててー!!とナルトの元気な声が聞こえた。ちゃんと合格できたんだ、と少し驚いていたのだが、すぐにバンッとものすごい音とともに何かが入ってきた、3階の教室に。その黒い物体がアンコではないことを祈りたい。
「アンタ達よろこんでる場合じゃないわよ!!!」
しかし広げられた黒いものにはデカデカと第二試験官云々と書いてある。
「私は第二試験官!みたらしアンコ!!次行くわよ 次ィ!!!」
堂々とそう名乗った彼女は、紛れもなく私の知人であり、友であり、第二試験官であった。もう少し場の空気を読もうよ、と見ている私の方が恥ずかしくなった。よかった、アンコと一緒に来なくて、と私はほっと一息ついたのだった。
中忍試験 第一の試験
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