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僕と小梅は、小学生の時に出会った。
同じ委員会に属していたからだ。雑用ばかりであまり好かれないその仕事を、押し付けられた僕と小梅。
バスケの時はともかく、基本的に良い人≠演じることが世渡りしやすいと考えて――所謂、都合の良い人になっていたが――引き受けた。小梅はじゃんけんで負けたらしい。
そこで出会った僕たちは、高校になった今でも付き合いだ。
同じ中学を受験して、入学して、3年の時はクラスが一緒だった。
――――いつの頃からかテツヤとそういう関係≠ノなっていたことには気付いていた。本人たちは隠していたつもりだったらしいがバレバレだ。
それでも僕にとって小梅は勝利≠ニは別に、基礎代謝―――いや、空気のような、酸素のような存在だった。
彼女は誠凛、僕は洛山。
東京と京都で高校が別れた後も、連絡はよくとった。バスケの話をしないのは暗黙のルール。部員との日常会話くらいだ。
テツヤと付き合っていると聞いたのは高校に上がってからだ。小梅もテツヤも、僕以外の人間にそれを伝えたことはなかったらしい。曰く、僕が特別だから。
小梅はともかく、テツヤが和解した大輝よりも先に僕に伝えた。
知っていてほしい、とそう言ったと同時に小梅に手を出すなと釘を差されたような気がした。
勿論、テツヤにそんな気はなく、純粋に伝えたかっただけなことは知っているが。それでも…。
――――僕は小梅が好きだ。
その感情は誰にもバレたことがない。その自信はあった。
…それが裏目に出るとは思わなかったが。
僕の隣から、小梅が消える。それが嫌で嫌で、でも小梅が幸せなら僕から離れてテツヤの隣へ行っても良かった。
小梅が幸せなら。
20120928
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