ぺちん、と小さな音が鳴る。
「……」
頬をぶたれた。
本当に軽くで痛くも痒くもない。
「え?なに??」
ベルトルトの長い指が私の頬を撫でる
「痛い?」
「全然」
それを聞いたらまたぺちん、と叩かれた。
「なんなのよぉ??」
「………」
無言のままベルトルトは私を見ている。もしかしたら機嫌が悪いのかもしれない。
だって眉間に皺がよっているもの。
「…私、なにかした??」
「……」
機嫌が悪いベルトルトは少し面倒だ。まるで自分で心当たりを探しなよとでも言いたげな表情をするから。
でも心当たりがない。
いつものように訓練をして、いつものように帰ってきたのだ。
「言わないとわからないわ」
またぺちんとされて私はため息が出た
「ベルトルト、いい加減に―‐」
「……ジャンに」
「え?」
「ジャンに、触られてた」
「………?」
ジャン?
知っている同期の名前が出て私はますます首を傾げた
確かに今日もジャンは居た。
ペアを組んでいたため1日じゅう一緒だったが触られてた覚えはない……。
「……あ」
もしかして、あの時の。
ふ、と思い出した。
私の頬に泥がついたのだ。ジャンに投げ飛ばされた後に。
その時に服の裾で拭いてくれた事を思い出す。
だが触るなんて可愛いものじゃない。ゴシゴシ擦られたに近い。
「リズに触っていいのは僕だけだろ」
不貞腐れたように俯く彼。
「だから、躾。」
「叩いたのが?」
「そう。叩かれるのが嫌なら他の人に触られないようにね」
あんな優しい叩き方じゃ…なんて思ったが、優しい彼の事だ。私に痛い思いをさせたくなかったのだろう。
「ふふ、ごめんねベルトルト。気を付けるわ」
私も彼の頬に手を当ててなでる。
「そうだよ、気をつけてね。リズ」
今度は両頬をあの大きな手で包まれて私たちは唇を重ねた
優しい躾
(頬痛い?)
(全然)
(傷が残ったらお嫁さんに貰ってあげる)
(だったら、残ってほしいわね)

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