「リズ、風邪引くよ?」
「大丈夫」
吐く息が白かった。
寒いのだろう小さく体育座りをしている彼女の鼻は赤く、時々すん、と鼻をならした
「君もブランケットもらってくればいいのに」
「うん。でも目が離せなくて」
僕らは壁の上に居た。
所謂警備というやつであり交代で外を監視する。
こんな夜中に巨人が居ることは考えにくいが。
「もらってきてあげるよ」
「ねぇ、ベルトルト」
「…?」
「世界は美しいね」
「この世界が?」
「うん。川も、草も、空も美しい」
「そうかな」
「世界を汚くしてるのは、世界にすんでる私達だね」
「……」
「巨人はそんな私達をこらしめたいのかな」
「そんなんで食べられたくないよ」
「へくちゅ!」
「ほら、風邪引くって」
ずずっ、と鼻をすうリズは幼く見えた
「ベルトルト、さむい」
「しょうがないなぁ」
持っていたブランケットを渡そうとすればリズが隣を指差した。
「ここ座って」
「?」
おとなしく隣に腰掛ける
するとリズは四つんばいでこっちに近づき僕の足の間に入ってくる
「ちょ、リズ!?」
「ベルトルト、ブランケット」
「リズ…」
はぁ、とため息が出た。
僕は黙って自分の背中から前に向かってブランケットを回す
「ベルトルト大きいからいい風避けだね」
「僕は寒い」
「あの雪山の時よりはましでしょ?」
“あの雪山”とはきっと訓練生時代の事だろう。確かにあれは死ぬかと思った。
じわりじわりとリズの体温がこちらに伝わってくる
「あったかい」
「よかった」
「明日も、あったかいといいな」
それは沢山の意味を含んで居ると思った。
明日生きている保証はどこにもないからだ。
「ねぇ、ベルトルト。明日もあったかいよね」
「……うん。きっとあったかいままだ」
へにゃ、とリズは笑ってリズはだといいなと弱々しい声を発した
あったかい
(ベルトルト、何してるんだ)
(ら、ライナー!これは、そのっ)
(ねぇ、私、ライナー、ベルトルトでくっついたら凄いあったかい気がする!)
((それはいい))

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