彼の見る世界はどんなものなんだろうか
「ベルトルト」
「リズ?」
キョロキョロと辺りを見渡す彼
「こっちだよ。上。」
「なにしてるの」
「へへ」
知っている声で名前を呼ばれ、声の主を探して見れば自分より高い木の枝に彼女は座っていた
ベルトルトは持ってきた本を下に置く
「もしかして降りられないの?」
ほら、と両手を上に上げる彼は優しい
「やだ。これくらいの高さだったら降りられるよ」
私達はあの死ぬのではないかと思う訓練を受けて来たのだ。
それに比べればここから飛び降りるのなんか容易い。
笑いながら言えば彼は眉間に少し皺を寄せてから手を下ろした
「リズも女の子なんだからそんなとこ上らない方がいいよ」
「本、読もうとしてたの?」
「(聞いてない…)うん。ちょうどいい木陰があったからね。」
でも先客が居たから移動しようかな、と頬を掻きながらベルトルトは言った
「リズは何してるの?」
「ベルトルトの事考えてたの」
「え??」
「ベルトルトの見てる世界はどんなものなのかなって」
「僕そんなに背高くないけど」
「いろいろ見えた」
「そう」
「でも近くのものは見にくい」
「そうだよ。だからリズは小さいから探すのが大変なんだ」
「私、いつもベルトルトを見上げて首痛いなって思ってたけど、ベルトルトも大変だったんだね」
「なにそれ」
柔く笑う彼
私はそのへにゃっと笑う顔が好きだ。
「ベルトルト、やっぱり降りれないから受け止めて?」
「え?あぁ、いいよ」
また両手を上げてくれたのを確認して私は飛び降りた
「ありがとう」
「どういたしまして」
地面に降ろされて私はベルトルトを見つめる
「私やっぱり」
「?」
「ベルトルトを見上げる方が好きみたい」
へにゃっと笑ってリズはすぐに走って行ってしまった
頬を少し染めたベルトルトを残して
お互い様
(ライナー、)
(どうした。顔が真っ赤だぞ)
(小さい子って可愛いね)
(は?お前からすればみんな小さいだろ)
(見上げて貰うのが嬉しいなんて初めてだ)

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