王子様たちの反応
女子テニス部レギュラーたちが動画をアップロードした翌日。
朝練が終わって制服に着替える男子テニス部レギュラー達の話題は昨日深夜にアップロードされた単発の実況動画だった。
「おい、赤也!実況見たか?」
「当然じゃないですか!ひむさんの天才すぎるハンドルさばきといったら最高っすね!」
「おまんらも見たんか。俺はゆーみんのチート技が気になっとったぜよ」
「へえ、昨日新しいの上がったんだ。何時ごろ?」
「一時近かったっす!」
「なら、今日帰ってから見なきゃ」
通称プリガムレッドだけでなく、他のメンバーや部長までもが会話に入っていき、一緒に盛り上がる。
「もうすぐホームルームが始まるぞ。急げ!」
「うわ、こんな時間かよぃ」
八人は一斉に鞄を手に取り、慌てて校舎に駆けていった。

柳が丸井とともに教室に駆けこむと、ショートホームルームが始まる直前であり、担任はまだ来ていなかった。
「間に合ったぜぃ!」
「おはよー、遅かったねぇ。また朝から部長さんのスパルタ指導?」
「…いや、少し部室で話し込んでしまっただけだ」
「そっかぁ。まあ、早く座った方がいいんじゃない?もう先生来るよ?」
「そうだな」
そういって柳は彩弓の隣の席に鞄を置いて座った。
「あっちぃー」
丸井は席に着くと早速下敷きを出して扇ぎはじめた。その隣に座っている楓は苦笑しながら丸井に扇子を貸した。

ショートホームルームが終わると、一限の授業の準備や移動教室などで一気に騒がしくなる。そんな中クラスメートたちの話題はやはり深夜にアップロードされた実況動画だった。
幸村は一限の数学の教科書とノートを鞄から出しながら、後ろに座っている望に話しかけた。
「…すごい人気だね。やっぱり」
「え?何が?」
「実況動画だよ。女子高生八人の」
「ああ、そのことね」
大して興味もなさそうに答える望に幸村は気にした風もなくさらに話しかける。
「あの人たち、グループ名とかないのかな?いつも八人でやってるけど…ねぇ?」
「え、そうなんだ。…グループ名、ね…」
「まあ、グループ名とかなくても人気なのには変わりないけどね。…そういえば、来週のことなんだけど…」
「あ、合同練習試合?どこに集合すればいい?」
「男子部室前に来てくれるかい?」
「わかった」
来週立海で行われる男女合同練習試合。立海と氷帝の男女テニス部レギュラーが参加する。普段しないミクスドなども行われる予定だ。
いつの間にかこの二人の話題は動画から練習試合のことに変わっていたが、二人は特に気にしていない。幸村は毎回さりげなく望に話題を振るが、望が動画の話にさほど食いついてこないので大体毎回こうなってしまう。慣れたのか気にしていないのか幸村も特に何も言わずに話題を変えてしまう。決して望に腹の内は見せずに。
「あ、先生来たよ?」
「本当だ、ありがとう」
「いいえ」
穏やかに笑う望と幸村。美人と評判の二人はクラスメートたちの視線を集めながらも前を向いて授業を受けた。


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