「なあ君ら、名前も覚えてねぇの?」

そんくらい覚えてるんじゃないか、と言いた気なオーディンが
振り返りざまにそう言った。


ソファーに座っている彼は
静かに首を振っている。

私も自分の名前を覚えてはいないけれど
一つだけ気づいた事がある、
「ネックレス…」

「ネックレス?」

さっき、鏡越しに見た自分が
ネーム入りのネックレスを着けていた事。

「オーディン、私のネックレスに名前が入ってるの」

首からチェーンを外し、オーディンにネックレスを手渡す。

「本当だ…」

「私の名前とは限らないけど、」



オーディンはネックレスを手にかざし、
消え入る様な声で呟いた。

「…Xilukyna。」



シルキィナ。
それが私の名前なのかもしれない…

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