「あれ……ここは…」

彼は眠たそうに目をこすりながらそう言った。

気のせいかもしれないけれど
私はその声を知っているような気がした。



オーディンが彼に話しかける。
「おはよーさん」


「…君は…誰?」

「俺はオーディン、お前は?」


真っ黒な部屋を見回しながら
彼は不思議そうに答えた。

「自分は…あれ、思い出せない…」


オーディンは半ば呆れたようにしゃがみ込んだ。

「おいおい、こっちもかよ」



記憶が消えた。

2人同時に…?



静まりかえる黒一色の部屋、

静けさを裂き意外な一声を放ったのはオーディンだった。

「わかった。2人とも俺が引き取る。行くとこ無いんだろ?」


ソファに座っている彼は少しうつむいて、
「無いけど、オーディンに迷惑がかかるよね?」
と言った。


少し考える素振りを見せたオーディンは、近くにあった黒いイスに座った。

「もちろん条件つきさ」



「条件?」


「そ、"アースガルド"に入ってもらう。詳しい事は入ったら教える、」

「…わかった。」


オーディンはにっこり笑うと
彼の肩をポンポンとたたいた、
「サンキュ、よろしくな!、君はどうする?」


私の方へ振り返り小首をかしげている、
断ったとしても行く所が無いから
私も入る事にした。



「私も…入る。よろしくね、」


「お、よろしくな」



イスから立ち上がったオーディンは
2人の飯もってくっから、
と言って部屋を出ようとした。
けれどその足はドアの目の前に来て留まった。

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