りっぷくりぃむ

始まりは昴先輩から発せられた小さな声。

「っ……」

風紀委員室で達希と喋ってる途中、書類を整理していた先輩の小さく息を飲む様な声が聞こえた。
本当に小さな声だったけど俺の耳は自然とその音を聞き取って

「昴先輩。どうかしたんですか?」

先輩の方を見て声をかければ、少し離れた位置に居た伊木先輩が

「イッチーどうかしたのぉ?」

と言って俺達の側に寄ってきた。

「いや、唇切っただけだ」

気にするなと言う先輩の言葉を無視して薄く綺麗な唇を覗き込む。

「あぁー…痛そうですね」

見れば先輩の唇左側が少し切れて血が出ていた。

「リップ持って来てないんですか?委員長」

「つか今まで使った事ねぇから持ってねぇ」

「俺の貸したげよーか?」

「かまわねぇよ。つかそんな気にする程のモンでもないだろ」

「いやいや。また切れるかもしんないんだから予防しとこうよイッチー。
つかそんな唇だとユキちゃんがかわいそーだしねぇ。
キスの時のエチケットは大事よぉ
ね。達希ぃ?」

「………俺に振んなよ」

「ふぅん……ユキとのキスの為なぁ…」

達希や伊木先輩の言葉にそう返しながら唇を舐める仕草はどこか卑猥で
思わず熱の灯る顔を俯かせていると

「ユキ」

いきなり声をかけてくる先輩に少しドキリとして顔を上げてみれば

ちゅう。

なんて可愛い音と共に唇にカサつきながらも柔らかな感触。

「っっっ〜〜」

「やっぱ塗って結構経ってたからかあんま付かねぇな」

まぁ良いかなんて言るけど全く良くないからっっ。

「〜〜先輩の馬鹿っっ!!」

上機嫌で飲み物を買ってくるなんて部屋を出て行く先輩の背中に悪態をつくけれど必然的に熱が集まってくる頬をもてあましながら

次はもう少し多めにリップを塗っておこうと頭の片隅で考えてしまった俺は大概先輩に毒されてしまったのかもしれない。



END









おまけ


「あー。イッチーいいなぁー。
ねぇ。たつきぃー俺もああいうのしたぁい」

「お断りだ。
お前は自分のリップ持ってるだろうが」

「つれないなぁー。
じゃあ俺がおすそわけ」

ちゅう。

「〜〜しねっっ!!」



本当にEND



何やってんだコイツら\(^q^)/

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