こたつ


社会人な高緑の休日



雪がちらつく十二月。昼食の片付けを終え、「寒い寒いっ!」と肩を抱きながら最近出したばかりのこたつに直行する。ストーブの熱風とは違う、こたつ特有の優しい温もりを求めて足を伸ばせば、コツ、と他の足とぶつかった。あ、あったかい。もそもそと手探り(足だから足探り?)にズボン裾から足先を潜り込ませ、暖かな素足をつつつと撫でると、直ぐ様その足はぴゃっと逃げて、その代わりに目の前から蜜柑が飛んできた。それは見事に俺の額にぶち当たり、こたつ布団の上にぼとりと転る。


「痛い!!」

「冷たいのだよ」

「いいじゃん。皿洗ったご褒美♪」


目の前で不機嫌そうに顔をしかめた恋人は、蜜柑の皮を剥きながら「お前がじゃんけんに負けたからだろう」と呆れたように呟いた。


「真ちゃん、蜜柑ちょーだい」

「今渡しただろう」

「だって剥いてない」

「自分で剥け」


相変わらず真ちゃんはちょっと冷たい。まぁそんなところも好きだけど。実についた白いやつまで几帳面に取る真ちゃんを見つめながら、こたつの机に顎を置く。何を考えるでもなくぼんやりとしていると、蜜柑からチラリと視線を上げた真ちゃんは、蜜柑を一房ちぎって俺の口元へと持ってくる。意表を突かれてきょとりとすると、真ちゃんもきょとりと目を丸くして「欲しかったんじゃないのか?」と言う。なんだよ真ちゃん。皮を剥くのは嫌なのに自分のを分けるのはいいの?ふにっ、と軽く唇をなぞった蜜柑にかぶり付き、「ありがと、真ちゃん」と苦笑すれば真ちゃんは綺麗に、静かにふわりと笑う。可愛い。


「真ちゃんもういっこ」

「あぁ。……なんだか動物に餌付けしている気分なのだよ」

「俺、真ちゃんになら餌付けされても全然オーケーだぜ?」

「馬鹿を言うな」


こうやって静かに、穏やかな時間を一緒に過ごすことがこんなにも幸せだなんて知らなかった。差し出される蜜柑を口に入れながら大好きな真ちゃんを見ると、彼は仕方ないな、というような苦笑を浮かべていて、つられるように俺もふにゃあっと笑う。あー、ヤバい。幸せすぎる。こんな締まりのないだらしなさ全開の顔なんて絶対真ちゃん以外に見せらんねぇや。


「へへ、しーんちゃん」

「ん?」

「大好き」


不器用な優しさとか、たまに見せるデレとか。おは朝信者なとこも全部好き。笑いながらそう言えば、真ちゃんは呆れたように溜め息をついてほんの少し頬を赤らめた。あ、照れてる。かわいいなぁと思いながらこたつに頬杖をつけば、真ちゃんはクィ、と眼鏡を押し上げながら俺も好きなのだよと呟いた。











こたつ
(穏やかな時間の過ごし方)











2013.01.19

こたつ好きだよこたつ!
あとこたつエッチとかいいよね(爆)

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