ざまぁみろ!


塾生みんなが揃う中、俺は無理矢理に引き寄せたソイツの唇を奪ってやった。ファーストキスが公開キスだなんて我ながら呆れる。噛みつくように、いや、実際唇の端にガブリと歯を立ててから唇を離してやれば、ソイツは本当に驚いたというように目を見開いて、直ぐ様口元を掌で覆って顔を真っ赤にした。


「俺が好きなのは勝呂だって言ってんだろが!」


どんだけアピールしたら気づくんだよ鈍チン!吠えるようにそう言って、掴んでいた胸ぐらを力強くブン回すように離してやる。すると勝呂はほんの少しよろめいて、呆けたように俺を見下ろした。言っておくが俺は絶対謝らない。あんなにアピールしてんのに、全然気付かない勝呂が悪いんだ。

ほんの少し口に残る血の味を意識して、俺は盛大に鼻を鳴らしてやった。











ざまぁみろ!
(キミが全部悪いんだ!)











踵を返して廊下に走り出れば、焦ったように「奥村!」と俺の名前を呼ぶアイツの声。チラリと後ろを振り返れば教室から飛び出す勝呂が見えた。どうやら追いかけてくるらしい。追い付けるもんなら追い付いてみろ!怒った俺はなかなか捕まえらんねぇぞばぁか!

このまましばらくは、ふたりだけの鬼ごっこが続きそうだ。











2012.03.11

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