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前々から柴崎のファンクラブに比べ過剰だと問題視されていた七恵のファンクラブ。いつぞやではストーカー紛いのことまであった程だ。

今そのファンクラブに動揺が走っていた。

それもこれも、本人からまさかの交際相手の存在を暴露されたからによるものだった。


そしてその噂は瞬く間に広がっていき、誰もが予想だにしなかった事件へと発展していった。









あの騒ぎから数日。



「あのぅ、これどうしましょうか。」

「どうって言われてもなぁ…。」


そこには大量の手紙が入ったダンボールが数個置かれていた。

宛名は“雪片七恵”


いつぞやの雑誌の騒ぎを彷彿とさせるその量に若干引き気味になりながら、業務部員は何気なく数枚の封筒を取って送り先を確認した。

そして、思わず目を疑った。


嫌な汗がブワリと噴き出す感覚が気持ち悪い。
本当に何気なく見ただけだったのに、俺はとんでもないものを見つけてしまったのかもしれない。




「おい、どうした?」

話の途中でいきなり箱の中の手紙を手当たり次第あさり出した同僚を見て、男は戸惑ったように声をかけたが同僚の手元を見てしまえば言葉が続かなかった。


「…これ、やばいよな。」

「やばいどころの話じゃねぇよ…。」

「と、とにかく報告だ!」






二人は戦慄した。

このダンボール数個に入っている手紙、全てが同じ送り先から送られてきているということに。













「これは、さすがに見過ごせないな。」

そう漏らしたのは玄田三監。

そして呼び出された七恵は呆然と目の前の段ボールの山を見つめていた。

顔色は真っ青で今にも倒れてしまいそうだった。


「当分、お前さんには外出を控えてもらおう。笠原も付ける。ま、お前らいつも一緒か!」

「…はい。」

「心配するな!また前みたいにすぐ収まる!」

力強く背中を叩かれて苦笑いをこぼす。
前、とはあの広報の事件のことだろう。
そうであればいい。そうであってほしい。

ぬぐいきれない不安を胸にしながらも、七恵は玄田三監に笑みを向けるしかなかった。







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