You Copy?



『あ、う、しゃすけ!』

「しゃすけじゃなくて、さ・す・け・ね。はい、もう一回!」

『しゃしゅけっ!!』

「ぐはっ!ちょっと今の聞いたっ!?舌足らず万歳!」

「…………(怒)」

「落ち着け風魔殿っ!!!風を出しては雪子殿にも当たってしまうっ!!」

「…………(怒)、(怒)、(怒)!」



俺に向かってバサラ発動させようとする風魔を大将が必死になだめてる。大将も立派になったね

俺が何に喜んで風魔が何に怒ってるか分からない姫さんは、小さな頭をコテンと倒していた。まじどうしよう



「今までは好かなかったけど、子供って可愛いね〜。姫さん限定で」

「…あまり認識自体に変化はないのではないか?」

「うわ、大将がツッコミ入れた。俺様感動」

「…………チッ」



……今の舌打ちは風魔だろうか?

喋らないくせに舌打ちはできるんだね。なんかすごく苛立ってる



『くろのおにぃちゃん、おこってますか?』

「…………(フルフルッ)」

「…風魔殿が必死に冷静さを保とうとしている」

「姫さん、怒ってる風魔は置いといて。お兄ちゃんと遊ぼうね〜」

『?ゆきこはおひめさまですか?』

「そうそう、じゃあ俺が殿さ…じゃなくてこっちじゃ王子様?」

『おうじさま!?おうじさまは、おひめさまをチューでおこすんですよー』

「なっ−…!!」

「え、なにその役得。じゃあお言葉に甘え…うわぁっ!!?」

「風魔殿ぉぉぉっ!!!屋内で疾風は止めてくれっ!!!!」

「………(激怒)!!」






『……(もぐもぐ)』

「政宗様!雪子に甘味ばかり与えるのはお止めください!」

「Ah?いいじゃねぇか。ガキはおやつの時間だ、なぁ?」

『うんっ!!』



小さくなった雪子の代わりに家事の全般を猿と風魔、そして俺の三人で分担している

洗濯を終えて居間に戻ってみれば…雪子を膝に乗せた政宗様が、彼女にひたすら甘味を与えていた



「夕食が入らなくなります故、そろそろ…」

「別腹だ。それに雪子は甘味好きだよな?」

『すきー』

「オレらの作る飯は好きか?」

『すきー』

「政宗お兄ちゃんはどうだ?」

『らびゅー!』

「おう、よくできたな」

「何を教えているのですかっ!!!!?」

『こじゅろおじちゃんも、らびゅー!』

「お、おじっ−…!!?」

「ぶはっ!!!」







『おにぃちゃん』

「ん−…次」

『にいちゃん』

「あ−…違うな」

『にぃに』

「…惜しいな」

「何をやっておる貴様は」



長曾我部と雪子が向き合い座っていた。何をしているかと思えば、雪子に紙に書いた文字を読ませている



「しっくりした呼び方が無くてなぁ…次はこれだ」

『ちかにぃ』

「んー…何か近づいた気はするが…まだ微妙だな」

『……つかれた』

「童に付き合わせてどうする、阿呆め」

『あほー…あほちか?』

「止めろっ!!!つか、そう言う毛利は何て呼ばせる気だ?」

「…………兄様」

「兄様ぁ?またつまんねぇ呼び方だな」

「っ……黙れアホ親!」

『あほちかー!』

「決定事項かっ!!!?」








『おにぃちゃん、ゆきことあそんでーっ』

「仰せのままにっ!!」

「ヒッ…まさか凶王が童と並ぶ日が来るとは…明日は星が降るかもしれぬ」



ねだる雪子様を抱き上げ庭にお連れした。日頃は私にさえ気を遣う雪子様だが、幼い今は私を存分に頼ってくださる

庭を飛ぶ蝶が欲しいと仰るので、捕まえようとしたら刑部に止められた



「刑部!雪子様が御所望なのだぞ!」

「三成、加減を知らぬぬしが掴めば羽がもげてしまうわ。ちと待て」



そう言った刑部は私から雪子様を受け取り、ふわりと浮かんでいった

跳ねるように飛ぶ蝶と同じ高さになると、ゆっくりと人差し指を差し出す



「動くでないぞ……ほれ、来よった」

『ちょ−…むぐっ』



ふわりと刑部の指先に止まった蝶。それに思わず声をあげるが、雪子様は慌てて小さな手で自らの口を塞ぐ




『…ちょうちょさん』

「捕まえずともよかろう、蝶は空を飛ぶのが生業よ。ほれ、蝶もぬしを気に入ったようだ」

『ちょうちょさん、ゆきこをすきですかー?』



次は雪子様の手に止まった蝶

それを私へと差し出す彼女に迷うことなく手を伸ばす…が、私の指へ移ることなく逃げてしまった



「…さすがは三成。期待を裏切らぬ男よ」

『あ−…ちょうちょさんは、おにぃちゃんがきらいでしたか』

「・・・・・」

『だいじょぶ!ゆきこはおにぃちゃんだいすき!』

「っ−…!!も、もったいなきお言葉っ…!!」

『らびゅー!』

「待て、それを教えたのは伊達か?」

「刑部?」



雪子様の仰った…恐らく南蛮語に刑部の目が変わる

かと思えば私の腕に雪子様を戻して部屋へと入って行った



「どうした、らびゅーとは何だ?」

「ぬしと今の雪子にはまだ早い。らびゅーを雪子に教え何をしようとしたか問い詰めてやるわ」

「……?」

『おにぃちゃん、らびゅー!』

「???」






翌日−…





『ふっかーつ!』

「…………」

『ちょ、なんで残念な顔をしてるんですか佐助さん』



次の日、私は無事元の姿に戻っていた。昨日の記憶はしっかり残ってる、お世話かけました

…佐助さんは少し残念そうな顔をして、小太郎君と真田君は心底安心したような表情になった、何故に



「ったく…何だったんだ?急に小さくなりやがって」

『タイムスリップに比べたら小さな事故よ、あほちか』

「テメッ−…!!」

『あほちかが怒っちゃいましたよ兄様』

「…放っておけ」

『三成もごめんね、一日中遊んでもらって』

「い、いえ!とても充実した一日でした…!!」

「三成のイキイキとした顔は久しぶりよ。雪子もゆるりと過ごせたであろう?」

『はい!』



随分と甘やかしてもらった自覚はある。これからのお返しがたいへんだ

……特に片倉さん



『……すみませんでした。子供とはいえなんて残酷な言葉を…』

「いや…いいさ、お前らにとっちゃ俺ももうオッサンだ」

『そんな哀愁だらけの顔で言われたら罪悪感はんぱないです…あれ?政宗さん、なんか元気ないですね』



部屋の隅でぐったりと顔を伏せてる政宗さん。片倉さん曰く、大谷さんから説教を受けたらしい



『……?何かしましたっけ?』

「教育によろしくない事をな」

『え、まさか I love you もダメなんですか』

「女から複数の男に告白するんじゃねぇっ!!!!」

『プロポーズじゃないですっ!!!』






0927.
リクエストより
ヒロイン幼児化

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mae tugi

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